147.不動産を売っても介護保険料が変わらない?その理由とは!?

こんにちは!
イエステーション愛媛総合センター| 今治店の川又です。

公的保険、例えば社会保険や国民健康保険の保険料は、収入や所得に基づいて決まります。
この原則は介護保険にも当てはまり、不動産を売却して「譲渡所得」が発生すると、場合によっては保険料が上昇することがあります。

しかし、実際には不動産売却が介護保険料に与える影響は少ないのが一般的です。

この記事では、不動産売却が介護保険料に影響を与えない主な理由と、影響を与える状況において保険料がどの程度変動するかを詳しく説明します。
介護保険料の計算方法や、不動産売却による譲渡所得がどのような状況で介護保険料に影響しないかを掘り下げます。

介護保険料ってどうやって決まるの?まずはその基本からチェック!

介護保険料は、40歳以上65歳未満の公的保険加入者が支払う、介護サービスのための資金です。
この保険料は、加入者の収入や所得に基づいて計算され、保険の種類によってその算定方法は異なります。

まず、社会保険や共済保険に加入している会社員や公務員の場合、介護保険料は「標準報酬月額」に基づいて算出されます。
この標準報酬月額は、毎月の給与額によって決定され、保険料はこの金額の一定割合で計算されます。
例えば、全国健康保険協会の令和5年2月の保険料率が1.82%であった場合、標準報酬月額が20万円の人の月額介護保険料は次のように計算されます。

月額介護保険料=標準報酬月額×保険料率

=200,000円×1.82%

=約3,640円

この約3,640円の半分、つまり1,820円が加入者の負担となります。

重要な点として、不動産売却による「譲渡所得」は、この標準報酬月額には影響しません。
つまり、不動産を売却しても、社会保険や共済保険に加入している人の介護保険料は上がりません。

一方、自営業者や学生など国民健康保険に加入している人は、1年間の総所得を基に介護保険料が計算されます。
ここでの「所得」とは、給与所得や事業所得、そして不動産売却による「譲渡所得」も含まれるため
、不動産売却によって1年間の総所得が増加すれば、翌年の介護保険料が上がる可能性があります。

国民健康保険の場合、所得に応じて設定された複数の階層から、その人の所得に応じた保険料率が適用されます。
不動産を売却することで、所得が高い階層に分類されると、その結果として介護保険料も高くなる可能性があるのです。

特別控除を使えば介護保険料は上がらないの?不動産売却時の賢い対策

民健康保険加入者が不動産を売却する際、譲渡所得による介護保険料の急激な上昇はもはや心配の種ではありません。
2018年度の介護保険制度改正で大きな変更がありました。

この改正では、介護保険料の算定において、特別控除を適用した後の所得が基準となることが決定されました。
このため、特定の条件に該当する不動産売却、例えばマイホームの売却において
特別控除を適用することができれば、譲渡所得が減少し、それによって介護保険料の上昇も抑制されるのです。

介護保険料の算定と不動産売却:特別控除の重要性

不動産の売却時には、様々な特別控除が適用されることがありますが、介護保険料に影響を与える「譲渡所得」を削減するために考慮すべき項目がいくつかあります。

  • (1)収容交換等のために土地等を売却した場合の最大控除額は5,000万円。
  • (2)特定土地区画整理事業や被災地の防災集団移転促進事業等のために土地等を売却した場合の最大控除額は2,000万円。
  • (3)特定住宅地造成事業等のために土地等を売却した場合の最大控除額は1,500万円。
  • (4)農地保有の合理化等のために農地等を売却した場合の最大控除額は800万円。
  • (5)居住用財産を売却した場合の最大控除額は3,000万円。
  • (6)特定の土地(平成21年及び平成22年に取得した土地等であって所有期間が5年を超えるもの)を売却した場合の最大控除額は1,000万円。
  • (7)上記の1~6のうち2つ以上の適用を受ける場合の最高限度額は5,000万円です。

最も一般的なケースは(5)の「居住用財産を売却した場合の3,000万円の特別控除」で、
特定の条件を満たす自宅の売却で3,000万円までの譲渡所得が控除されます。

特別控除の適用外・受けても売却益がある場合は介護保険料が上がる?

介護保険料が上がる可能性があるかどうかは、以下の計算式に当てはめて考えてみましょう。

売却価格-(取得費+譲渡費用)-特別控除

不動産の売却価格がそのまま譲渡所得(売却益)になるわけではありません。
その不動産を購入する際にかかった費用「取得費」と、今回の売却でかかった費用「譲渡費用」を差し引いて残ったものが、譲渡所得です。

さらに、譲渡所得から特別控除を差し引いた残りが、所得にプラスされることになります。
仮に譲渡所得が2,500万円あったとしても、3,000万円の特別控除が適用できれば譲渡所得は0円に。
不動産売却によって所得が増えることにはなりませんので、介護保険料にも影響はありません。

ただし、特別控除を適用できない場合、特別控除を差し引いても譲渡所得がある場合は所得がプラスになった分、介護保険料も上がる可能性があります。

空き家の増加は、住宅市場における供給過剰の状態を示唆しています。
供給が需要を上回る場合、売却価格は下落する傾向にあり、売り手市場とは言い難い状況です。

まとめ

介護保険料は収入や所得によって決まる

介護保険料は収入や所得によって決まります。国民健康保険に加入している場合は、不動産売却の譲渡所得で介護保険が上がってしまう可能性が。

社会保険や共済保険の場合は不動産売却による介護保険料への影響はありません。

不動産売却で特別控除を適用できれば介護保険料に影響が出ることは少ない

税制では、一定の条件を満たす不動産売却で譲渡所得を控除する特別控除の適用を受けることができます。

2018年の介護保険制度改正により、介護保険料に関しても特別控除適用後の所得額で算定できることになりました。
特別控除の適用で所得税や住民税が上がらずにすんだ方は、介護保険料への影響もないでしょう。

介護保険料算定に影響する不動産売却の特別控除

一番よくあるケースは、マイホームを売却した際の3,000万円の特別控除です。

そのほか公共事業や街の開発、災害復興のために不動産を売却した場合などにも特別控除の適用があります。
それぞれの条件を満たし、確定申告する必要があります。

特別控除が適用外・譲渡所得がある場合は介護保険料が上がる可能性

国民健康保険に加入しているケースで、特別控除が受けられない場合、または特別控除を受けても譲渡所得がある場合は、所得が増えることによって介護保険料が上がる可能性があります。

介護保険料は自治体ごとに異なり、年度ごとに見直しがされています。

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