210.不動産を共有名義(共有持分)にする際のメリットとデメリット

こんにちは!
イエステーション愛媛総合センター| 今治店の川又です。
新居を夫婦で共同購入したり、二世帯住宅を購入する際に親子で資金を出し合う場合、出資した額に応じて不動産の所有権(共有持分)が決まります。
共有名義にする際には、どのような点に注意が必要でしょうか?
今回は、不動産を共有名義にする際のメリットとデメリットについてご説明します。
(※コラム内容は掲載当時の最新情報となり、現在改正されている場合があります)

共有名義・共有持分とは
不動産の購入には多額の資金が必要で、多くの人は住宅ローンを利用します。しかし、年収によっては希望額の融資が受けられず、一人で購入するのが難しい場合があります。そういった時に、夫婦や両親と資金を出し合って購入することがあります。
共有名義とは、その出資者の名義で不動産を登記することを指し、持分割合は出資額に応じて決まります。
例えば、4,000万円の物件を夫が3,000万円、妻が1,000万円負担して購入した場合、夫の持分は3/4、妻の持分は1/4となります。この不動産は夫婦の共有名義で、夫が3/4、妻が1/4の共有持分を持つことになります。
共有名義・共有持分のデメリット
不動産という高額な買い物をする際に、単独では収入や資金が不足しがちなため、共有名義にすることが多いでしょう。
では、共有名義にすることで何かデメリットが生じるのでしょうか?
自分の判断だけで売却できない
共有名義の不動産を売却する際には、すべての共有者の同意が必要です。共有持分の割合にかかわらず、たとえ自分が9割を持っていたとしても、独断で売却手続きを進めることはできません。不動産売買契約書には、共有名義者全員の署名・捺印が揃って初めて売却が可能となります。
共有者が亡くなると相続の対象となる
共有者が亡くなると、その持分は相続の対象になります。例えば、親子2人の共有名義の不動産で、相続人が自分一人だけであれば、全ての持分が自分に渡り、特に問題はありません。しかし、相続人が複数いる場合、その不動産は遺産分割の対象となり、共有者が3人、4人と増える可能性があります。
離婚すると、売却せざるを得ない可能性が高い
離婚時の財産分与、特に共有不動産の処理は複雑です。通常、一方が家を出て行くため、残る側が相手の持分を買い取るのが理想的ですが、現実はそう単純ではありません。多くの場合、住宅ローンを抱えているため、追加の資金がなく、買取りは困難です。結果として、物件を売却し、その収益を持分に応じて分配するのが一般的な解決策となります。このため、築浅物件が市場に出回る背景に離婚が多いのは、こうした事情によるのです。
費用が余計にかかる
共有者それぞれが住宅ローンを利用する場合は、登記費用(抵当権)がその人数に応じてかかります。
贈与税が発生する可能性がある
夫婦で不動産を共有している場合、妻が退職して収入を失うと、夫が単独で全額の住宅ローンを返済する事態が生じることがあります。この場合、夫が妻の分も支払うことになりますが、これは夫から妻への贈与とみなされる可能性があります。そのため、妻に贈与税が課される可能性があることを認識しておく必要があります。
共有名義・共有持分のメリット
共有名義にすることの欠点があるにもかかわらず、それを選択する利点としては、税制上の恩恵を二重に享受できることが挙げられます。これは、単に「投資した金額に見合う持分を確保したい」という理由以外の重要な動機となります。
住宅ローン控除を二重に受けられる
住宅ローン控除制度は、年末のローン残高1%を所得税から差し引くものです。夫婦や働く親との共同名義なら、各自が控除を受けられ、メリットは2倍になります。しかし、共有者の収入状況の変化により、この恩恵が失われる可能性もあります。例えば、無職になったり、出産・育児で就労形態を変更したりすると、控除が適用されなくなることがあります。そのため、短期的な利点だけでなく、長期的な状況も考慮して、共有名義にするかどうかを十分に検討する必要があります。
売却時の特別控除を二重に受けられる
不動産売却時に適用される「居住用財産の買換えの特例」、通称「3,000万円特別控除」は、譲渡益に対して3,000万円までの控除を認めるものです。共有名義の場合、この控除額が倍の6,000万円まで拡大され、高額物件の売却時には大きな利点となります。単独名義では3,000万円を超える譲渡益に課税されますが、夫婦の共有名義なら6,000万円まで非課税となります。ただし、一般的な居住用不動産でこれほどの売却益を得ることは稀で、3,000万円以上の利益が出る場合にのみ恩恵があるため、この特例だけを目的に共有名義を選択する人はほとんどいないでしょう。

まとめ
共有名義や共有持分による不動産所有は、住宅ローン控除などの税制面で利点がありますが、これらの恩恵は共有者全員の安定した収入が継続することを前提としています。一方で、様々な欠点も存在するため、単独名義と共有名義のどちらを選択するかは、これらの注意点を十分に考慮した上で慎重に判断する必要があります。
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