172.基礎ひび割れ家の売却方法 原因と対策&買主への丁寧な説明

こんにちは!
イエステーション愛媛総合センター| 今治店の川又です。

地震の多い日本では、誰もが基礎のひび割れや亀裂に遭遇する可能性があります。

住宅売却時にこれらが見つかった場合、隠すか補修するか迷うかもしれません。しかし、過剰に心配する必要はありません。
ひび割れの程度によって、最適な売却方法が異なるのです。

本記事では、そうした基礎欠陥住宅の売却におけるポイントを解説します。

基礎のひび割れ・亀裂は幅0.5mm以上だと売却価格に影響する

コンクリート製の基礎部分にひび割れができるのは避けられません。
しかしながら、そのすべてのひび割れが売却の障害になるわけではありません。
問題視されるべきは、建物の構造に悪影響を及ぼすおそれのあるひび割れです。

そうしたひび割れが存在すると、住宅に影響があると判断され、結果として売却価格が下がってしまいます。

では具体的にどの程度のひび割れが価格に影響するのでしょうか。ひび割れについては公的な基準があり、

ひび割れの幅が0.5mm以上あるか、深さが20mm以上でさび汁を伴うものが該当します。

このような瑕疵が認められた場合、重要事項説明書にひび割れの存在を記載し、買主に開示しなければなりません。
ひび割れの幅は自分でも測定可能で、クラックスケールという定規のような専用の測定器具を使う方法があります。

このクラックスケールはホームセンターなどで500円程度で購入できます。

別の方法としては、太さ0.5mmのシャープペンシルの芯をあてがって、ひび割れの幅を確認するという手軽な方法もあります。

逆に、ひび割れの幅や深さが0.5mm未満の小さなものであれば、

住宅の構造への影響は小さく、売却価格にもほとんど影響はありませんので、過度に心配する必要はありません。

基礎のひび割れ・亀裂の原因と対策

基礎にひび割れが発生する原因は何なのでしょうか。

原因次第では、売却価格が下がるだけでなく、
売却後に契約不適合として損害賠償や契約解除を請求される可能性があるので注意が必要です。

基礎のひび割れが起こる原因と対策を解説していきます。

原因その1】基礎の施工不良によるひび割れ・亀裂

基礎部分のひび割れは、手抜き工事による施工不良が原因になる場合があります。

基礎は住宅全体を支える重要な部分です。
ここに強度不足を示すひび割れが発生していれば、大きな地震が来た際に家屋の倒壊につながるリスクがあります。

具体的にはどのような手抜き工事が施工不良の原因となるのでしょうか。

①鉄筋の本数が少ない

鉄筋は鉄筋コンクリート造の強度を確保する上で欠かせない存在です。
構造計算により必要な鉄筋本数が算出されますが、設計と異なる間隔で配置したり細径の鉄筋を使用したりすれば、
コンクリートの力の負担に耐えられなくなります。

このように適切な鉄筋が不足すると、ひび割れを引き起こし、場合によっては倒壊にもつながりかねません。

②鉄筋の位置が表面に近すぎる

コンクリートによる鉄筋の被覆厚さは通常5cm程度が定められています。しかし施工ミスでこの厚さが不十分な場合、鉄筋がコンクリート表面付近に位置し、雨水の浸入で錆びが発生します。錆が進行するとさび汁が発生するだけでなく、鉄筋の膨張によりコンクリートが剥離、鉄筋が露出するリスクもあります。また鉄筋がコンクリート表面近くにあると、鉄筋コンクリート造の性能が発揮されず、基礎の設計強度が確保できなくなる可能性があります。

③品質が劣悪なコンクリートを使用

建築資材にはJIS規格製品の使用が義務付けられていますが、建築費用を抑えるため、一部で品質の劣る非規格コンクリートが使われているケースがあります。現場での練りコンクリートやJIS認定を受けていない工場製品を使うと、強度不足で劣化やひび割れが発生しやすくなる恐れがあります。

④コンクリートの施工不良

コンクリートの強度維持には一定の水分量が必要です。
しかし、基礎へのコンクリート流し込み作業を速めるために、水を追加したり、手抜き工事を行う業者も存在します。

これが強度不足を引き起こす原因の一つになっています。

【基礎が施工不良の場合の対策】

施工不良が原因で基礎にひび割れが発生している場合、基礎が設計上必要な強度に達していない可能性があります。

この場合、単に補修するだけでは解決しません。非破壊検査を実施して基礎コンクリート内部の鉄筋の本数などを確認し、

シュミットハンマーでコンクリートの強度を確認した上で、必要な基礎の補強を行う必要があります。

【原因その2】不同沈下によるひび割れ・亀裂

住宅の基礎自体に問題がなくても、地盤の軟弱さが原因で家が沈んで基礎にひびが入る場合があります。
地盤の部分的な沈下は、住宅の傾斜を引き起こします。不同沈下が進むにつれて、基礎のひび割れだけでなく、

外壁のひび割れや内壁のクロスの分断、建具の開閉の困難、床に置いた物の転がりなどの問題が生じる可能性があります。

これらの現象が見られる場合、不同沈下が進行していることが考えられます。

【不同沈下が原因の場合の対策】

不同沈下が原因で基礎がひび割れし、住宅が傾いた場合は、ジャッキアップなどの方法で建物自体を持ち上げて工事を行います。

沈下修正には、鋼管杭を支持地盤まで圧入して建物を支持する方法や地盤改良など、様々な工法があります。

基礎にひび割れ・亀裂のある家をスムーズに売却するには

基礎にひび割れがある家は、安全上の不安も大きいため、売却しにくいことは想像できると思います。

では、どうすればスムーズに売却できるのでしょうか。

①基礎のひび割れ・亀裂は必ず告知する

基礎のひび割れは見た目が悪いため、修理した上で売却することがよくあります。ただし、そのような修理の事実を購入者に隠してはならないのです。もし、告知なしに売却してしまえば、購入者から将来、契約が不適切であったとして損害賠償を請求される恐れがあります。ひび割れの存在や修理の履歴を正直に伝えることで、売却価格が下がる可能性はあるものの、長い目で見れば、より大きなリスクを避けることができます。

②重大な不備は補修をする

そのため、大きなひび割れは事前に修理しておくことで、売却がスムーズに進むでしょう。修繕費用を売却価格に反映させることは難しいですが、売れずに長期間放置するよりも良い選択です。決して無駄な出費ではありません。さらに、欠陥箇所を修理することで既存住宅売買瑕疵保険を利用できるという利点があります。この保険に加入していれば、売却後に欠陥が見つかっても、買主からの修理費用請求を保険金でカバーでき、買主も安心して購入できます。

③価格交渉には柔軟に対応する

亀裂のある家の購入を積極的に望む人はほとんどいません。

購入希望者が現れて価格交渉が始まれば、大幅に価格を下げることが売却をスムーズに進める秘訣です。

別の方法として、売却価格を保持しつつ、「〇〇万円の修繕費用を負担します」というオファーで出すことも一つの手段です。

これは購入希望者の関心を引く効果があります。

④買取専門の会社に買い取ってもらう

基礎に亀裂が入っているなど、特殊な状況の物件でも、買取専門の不動産会社は対応してくれます。
家にひびが入っていることで売れないのではと悩んでいる人や、
修理に必要な資金がないという問題を持つ人にとって、これらの会社は有効な選択肢になり得ます。

これらの企業は、買い取った家を改修やリフォームし、新しい価値を創出する技術を有しており、
専門知識を活かして意外にも高価買取が期待できるかもしれません。

まとめ

売却価格に影響を及ぼす基礎のひび割れや亀裂は、幅が0.5mmを超えるか、幅に関係なく深さが20mm以上の場合があります。
これらのひび割れは、基礎の耐久力不足や地盤の不均等な沈下によって引き起こされることが多いです。

構造的な問題を示すひび割れは、売却プロセスを複雑にします。重要なひび割れについては、事前に修理を行い、売買契約上の瑕疵保険に加入するなど、買主の懸念を減らすための措置を取ることが推奨されます。
修理費用の調達が難しい場合は、特殊な状態の物件を取り扱う買取専門の不動産会社への相談も一つの選択肢です。

愛媛総合センターは、不動産に関するご相談を全て無料で対応しています。
空き家に関する相談や無料査定、相続問題など、どんなことでもお気軽にご相談ください。

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