234.旗竿地は売りにくい?特徴等を押さえてスムーズな売却を目指そう

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イエステーション愛媛総合センター| 今治店の川又です。

旗竿地(はたざおち)は、細長い通路部分が道路に接し、その奥に敷地が広がる土地を指します。道路から奥まった立地でプライバシー性が高い一方で、特有の形状から建築に制限がかかることもあり、売却に不安を抱く方もいるかもしれません。旗竿地の特徴や評価、売却時の注意点を詳しく解説します。

旗竿地ってどんな土地?

旗竿地とは、細い通路部分のみが道路に接しており、竿の付いた旗のような形状からその名が付けられています。この通路部分が路地のように見えることから『路地状敷地』とも呼ばれ、各地方の条例でもこの名称が用いられています。

旗竿地に課せられている建築条件とは

旗竿地における路地状部分(道路に接する細長い通路状の敷地)は建築が禁止されています。狭い幅のため建築スペースがほぼなく、カーポートや物置などの小さなものでも建てることはできません。このエリアには何も設置することができない決まりになっています。

路地状部分には建築できない

旗竿地における路地状部分(道路に接する細長い通路状の敷地)は建築が禁止されています。狭い幅のため建築スペースがほぼなく、カーポートや物置などの小さなものでも建てることはできません。このエリアには何も設置することができない決まりになっています。

路地状の長さによって幅員制限がある

土地に建物を建てる際には、道路に2m以上接していることが求められますが、これは旗竿地にも適用されます。旗竿地の場合、単に接道部分の幅が2m以上あればよいというわけではなく、路地状部分の「最も狭い部分が2m以上であること」が条件です。そのため、途中に2m以下の部分があれば新たに建物を建てることはできません。また、接道幅が2mでも、路地状部分の長さによっては建築ができない場合もあります。例えば、東京都建築安全条例では、延床面積が200平方メートル以下の場合、路地状部分の幅が2mで建築が認められるのは長さが20m以下の場合のみ。20mを超えると、幅員が3m以上必要となります。

旗竿地での建築の可否は地方によって異なる

旗竿地の建築可否に影響する幅員と長さの関係は、地方によって異なります。そのため、旗竿地を購入する際は、適用される地方条例を確認することが重要です。例えば、旗竿地が多い京都市の場合、路地状部分の幅員と長さの関係は以下のように定められています。
・路地状部分の長さが20m以下…幅員が2m以上で建築可
・路地状部分の長さが20m以上35m以下…幅員は次の数式で求められる数値以上 → 2+(L-20)/15 (単位:メートル)
・路地状部分の長さが35m以上…幅員が4m以上で建築可
多くの地方条例では長さが規定より1cm長いだけでも幅員が1m単位で広くなるよう設定されていますが、京都市では長さに応じて幅員が比例して決まるようになっています。このように都市ごとに条例が異なり、同じ敷地形状でも条例によっては建築可能な場合もあれば、不可の場合もあるのです。

3階建ての建築物は基本的に建てられない

東京都建築安全条例では、路地状部分の幅員が4m未満の場合、3階建て以上の建物を建てることはできません。また、耐火・準耐火建築物であっても、4階以上の建物は建築できないと規定されています。しかし、耐火・準耐火建築物を選べば、旗竿地に3階建てが建てられるわけではありません。3階建て以上を建てる場合、建築基準法に基づき非常用進入口の設置が求められます。これは火災時に、はしご車が直接室内に進入できる進入口を設けることを義務付ける規定で、道路や幅4m以上の通路に面していなければなりません。そのため、旗竿地の路地状部分が4m未満では非常用進入口を確保できないため、3階建て以上の建築は実現しません。長さが20m以下の場合に一部緩和規定があるものの、基本的には4m以上の幅員がなければ、3階建ては難しいということを考慮するべきです。

旗竿地のメリットは?

旗竿地は整形地とは異なる特徴を持っています。売却時にどのように評価されるかを理解するために、まずは旗竿地のメリットを見ていきましょう。

メリット1:道路から奥まっているので静かに暮らせる

公道から離れた場所に位置しているため、車の音が少なく、通行人の目を気にすることもありません。静かでプライバシーが守られた生活が可能です。」

メリット2:玄関までのアプローチを工夫できる

細長い路地状敷地は、例えば花を飾ったりエクステリアを工夫したりすることで、住まいをより楽しく演出することができます。飲食店の路地のように、玄関までのアプローチに遊び心を加えることも可能です。

メリット3:路地状部分も敷地面積にカウントできる

路地状部分には建物を建てることはできませんが、敷地面積には含めることができます。これによって建ぺい率や容積率が増加し、通路の奥にある「建築可能範囲」の境界線付近に建てても、指定建ぺい率内に収めることができる場合があります。

メリット4:固定資産税が安い

旗竿地の特徴として、整形地に比べて固定資産税が安いことが挙げられます。固定資産税を評価する際、旗竿地は変形敷地として補正を受けるため、面積が同じでも整形地よりも税額が低くなります。

旗竿地のデメリットは?

次に、どんな点がデメリットとして挙げられるのか確認していきましょう。

デメリット1:防災時の避難がスムーズではない

自然災害や火災が発生し避難する際、路地状部分が唯一の公道に出る経路となります。地震で塀が倒れるなどの事態が起きれば、通路が塞がれて避難経路が失われる恐れがあります。

デメリット2:火災時の消火活動が困難

自宅で火災が発生した場合、消火活動の拠点が路地状部分にしかないため、火を消すのに時間がかかる可能性があります。

デメリット3:駐車スペースを確保できない可能性がある

路地状部分の幅が法律で定められた最低限の2mの場合、車のサイズにもよりますが、自家用車の駐車はかなり難しくなります。駐車できたとしても、スペースが狭いため、乗り降りが困難な場合が多いです。場合によっては、別の場所に駐車場を確保する必要があります。

デメリット4:引越しや荷物の搬出入が大変

引っ越しや大型の荷物を運び入れる際、必ず自宅前の道路にトラックを停めて作業を行う必要があります。旗竿地では間口が狭いため、近隣の家の前に停車せざるを得ず、荷物を運ぶ距離も他の戸建てより長くなります。特にピアノや大型家具の場合、手作業で運搬することが多く、その分人手が必要で、費用が高くなることがあります。

デメリット5:人目につきにくいため防犯面で不安

家が奥にあるため、周囲に死角が多く、防犯面で不安があります。空き巣は目立たない場所を狙うことが多いため、セキュリティ対策をしっかりと取ることが大切です。

デメリット6:土地の分割ができない

広い土地は分割して販売することで価格が高くなることが多いですが、旗竿地は路地状部分の幅員に制限があるため、分割して売ることはほとんどできません。

デメリット7:建築コストが割高になる

路地状部分が狭いと、工事の際に大型の重機が敷地内に入れず、手作業が増えることでコストが高くなることがあります。また、レッカー車が使用できないため、工場で作られたユニットを現場で組み立てるユニット工法のプレハブ住宅はほとんど建築できません。さらに、建物を解体して更地にする場合もコストが割高になります。

デメリット8:再建築不可物件もある

昔からある旗竿地の中には、路地状部分の幅員が2m以下のものもあります。かつては基準を満たして建築できていた場合でも、現在の接道義務を満たしていない場合、再建築ができなくなることがあります。古い家がついている旗竿地を購入して、再建築を予定していたが、実際には再建築ができなかったというケースもあるため、購入時には慎重に確認することが重要です。

旗竿地の売却はどのように進めればいいのか

旗竿地の特徴について確認しましたが、実際に売却を進めるにはどのように進めるべきか気になるところです。スムーズに売却を進めるためのポイントを詳しく解説します。

売却時の査定額は低いのか?

旗竿地は整形地と比べると、建物の建築に制限が多く、実際に利用できる土地面積が狭いため、売却が難しい土地と言えます。評価も整形地より低く、旗竿地の取引価格は同じ面積の整形地の70〜80%程度となることが一般的です。

価格が安い点を前面に出す

購入者が物件を選ぶ際に重視するのは敷地面積と価格であり、特に価格は最も重要なポイントです。旗竿地は周辺の土地相場に比べて価格が安いため、注目されやすいです。もしその安さが事故物件などの訳ありではなく旗竿地ならではの理由であれば、興味を持つ人が増える可能性があります。旗竿地の価格の魅力をしっかりアピールして売却活動を行いましょう。

隣地所有者に購入を検討してもらう

旗竿地を有効に活用できるのは、隣地の所有者です。単独では評価の低い土地ですが、安く購入して自分の土地と併せることで、より大きな敷地として活用できます。隣地所有者が購入すると、土地を拡張して住環境を向上させることができ、さらに整形地にしてから高値で売却することも可能です。隣家との等価交換で整形地にすることも考えられますが、素人には難易度が高い方法です。

買取専門の不動産会社に売却する

旗竿地の売却が仲介では難しいと感じた場合、買取専門の不動産会社に相談してみるのも一つの方法です。中古住宅の買取を専門にしている不動産会社は、物件を有効活用するノウハウが豊富です。価値が低いと感じる物件でも、意外と高く買い取ってもらえる可能性があります。

まとめ

旗竿地はその形状のため建築制限が多く、公道に接する部分が少ないため防災・防犯面での懸念があります。しかし、逆に車の通行や人々の往来が少なく、静かな環境で過ごせるというメリットもあります。売却時には、整形地よりも価格が低くなることが一般的ですが、必ずしも売れないわけではありません。買取専門の不動産会社であれば、旗竿地の特徴をうまく活用した提案ができます。仲介での売却が難しいと感じたら、買取を考えるのも良い選択肢です。複数の業者に査定を依頼し、納得のいく価格で売却できる業者を見つけてください。当社も不動産売却のお手伝いをしていますので、旗竿地の売却に関してご相談があれば、気軽にご連絡ください。

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