197.送電線下の家は売れる?売却に影響するポイントとは〜第2回
こんにちは!
イエステーション愛媛総合センター| 今治店の川又です。
近くに送電線がある家の売却は不利だという話を耳にすることがあります。
価格に影響があるとなると、売却を躊躇する人も多いでしょう。
しかし、送電線や高圧線にはいくつかの種類があり、家の近くにある場合でも、
その種類や場所によって売却価格への影響は異なります。
今回は、価格が下がる要因について詳しく探ってみましょう。
送電線下の土地には建築制限がある
送電線と言っても、いくつかの種類があります。
例えば、家に電気を引き込む電線は「低圧線」と呼ばれる送電線の一つです。
全ての送電線が不動産の売却
送電線の下にある家が、そうでない家に比べて売却価格が低くなることが多いのは、建築制限が原因です。送電線下の建築制限は、送電される電力の電圧によって異なります。
電気設備に関する技術基準を定める省令第48条では、 『電圧が17万ボルト以上の場合、鉄塔下の敷地だけでなく、最外側の電線の真下から水平距離3m(垂線下水平距離3m)および定められた離隔距離(電線が最も下がった位置からの距離)を保たなければ、住宅などの建物を建てることができない』とされています。
電圧が17万ボルト未満でも、高圧線の下は危険です。安全確保のために建物は一定の距離を保つよう定められています。この距離を「離隔距離」と呼びます。
離隔距離は、電圧の強さに応じて以下のように規定されています。
送電電圧 | 隔離距離 |
50万V | 10.05m以上 |
27.5V | 6.6m以上 |
15.4万V | 4.8m以上 |
6.6万V | 3.6m以上 |
ただし、電力会社によって推奨される安全距離は異なる場合があります。
送電線の電圧が17万ボルト未満であっても、電力会社と土地の所有者との契約により、建築が制限されることがあります。
そのため、通常なら3階建てにできる場所でも、送電線の存在により2階建てしか建てられない場合があります。
送電線下に既に家が建っている状況を考えると、建築自体は制限されていないことがわかりますが、
何らかの建築制限がかかっている可能性は否定できません。
こうした条件下で家の売却を考えている人は、所有地にどのような建築制限があるか、
その内容をしっかりと確認することが重要です。
買主によっては嫌悪される
調べたところ、たとえ建築制限がかかっていなくても、送電線・高圧線、鉄塔の周囲を避ける人が多いことがわかりました。
このように、存在そのものが嫌われる施設を「嫌悪施設」と言います。
送電線・高圧線、鉄塔が嫌悪施設とされるのは、
家のそばにあると景観を損なったり、
威圧感があったり、
地震や台風の時に危険を感じるなど、
不快感や不安を覚えることが多いからです。
また、中には電波障害や電磁波の健康被害を心配する人もいます。
不安要素のある物件について「できれば買いたくない」「値下げしてほしい」と考えるのは自然なことです。しかし、考え方は人それぞれです。拒否する人もいれば、送電線の存在を気にしない人や、安ければ住みたいと思う人もいるので、最初から諦める必要はありません。
売却前に確認すべきこととは
送電線・高圧線のそばにある不動産を売却する際には、建築制限の他に、「地役権設定登記」と「送電線架設保持に関する契約」を確認することが重要です。
地役権設定登記を確認する
地役権とは、「自分の土地の利便性を高めるために他人の土地を利用する権利」(民法第280条)のことです。例えば、通行の便のために他人の土地を使ったり、高い建物を建てさせないようにするなど、一方の土地の便宜を図るために、他方の土地に設定されます。
電力会社は、送電線の下の土地所有者に高い建物を建てられると困るため、その土地に「◯m以上の建物は建ててはいけない」という地役権(送電線路敷設地役権)を設定しようとします。この権利を得るために、電力会社は土地の所有者に一括でお金を支払うことが一般的です。
地役権が設定されている土地かどうかは、登記簿謄本で確認できます。
ただし、山間部などでは地役権が登記されていないケースもあるので注意が必要です。
送電線の下に家が建っているのに地役権が登記されていない場合は、
契約内容も含めて電力会社に確認するようにしましょう。
送電線架設保持に関する契約を確認する
送電線下の土地使用を制限する際には地役権設定が一般的ですが、
代わりに電力会社と土地所有者の間で送電線架設保持に関する契約(債権契約)を結んでいる場合もあります。
債権契約では、補償料として土地所有者に年払いで継続的にお金が支払われることがほとんどです。
地役権が設定されていない場合は、送電線架設保持に関する契約が結ばれていないかどうかを電力会社に確認してください。
まとめ
送電線の近くにあるからといって売却が不可能になるわけではありません。建築制限は場所によって異なり、
送電線の近くを嫌う人もいれば、気にしない人もいます。
大事なのは、送電線・高圧線が不動産にどのような影響を与えるかをしっかり把握し、売却前に必要な情報を確認することです。その後、信頼できる不動産会社に相談してみましょう。
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