056.不動産の相続税、計算方法は?その不動産の相続税はいくらなの?

こんにちは!
イエステーション愛媛総合センター| 今治店の川又です

住宅や土地などの不動産を相続した時、相続税はいくらくらいになるのか心配ですよね。
今回は不動産の相続税についてのお話。

不動産の相続税の考え方や計算方法をご紹介します。
例を挙げて実際に計算してみましょう。

不動産の相続税を計算する前に確認すること

家や土地などの不動産を相続した場合、相続税はいくらくらいになるのでしょうか。

まず知っておいてほしいのは、相続税は被相続人が遺した遺産全体のうち、課税遺産全体に対して計算されるということ。
個別の財産や各々の相続人が受け取った財産に対して計算するわけではありません。

ですから、はじめに被相続人が遺した財産の全体像を把握する必要があります。

現金や預貯金などの財産はその価値がわかりやすいですが、土地や建物などの不動産は不動産評価額調査を行ってその相続税評価額を調べなくてはいけません。

遺産の内容によっては課税遺産に含めなくても良いもの(非課税遺産)、課税遺産から相殺して良いものなどもあります。

■ 非課税遺産
・お墓や仏壇など
・生命保険金や死亡退職金手当等のうち一定金額 など

■ 遺産額から相殺して良いもの
・借金やローンなどのマイナスの遺産
・遺産から支払う葬儀代

相続遺産がどのくらいになるのか把握しよう

被相続人が下記の財産を残した場合、相続遺産の全体像を計算してみましょう

  • 預金 3,000万円
  • 不動産  相続評価額2,000万円
  • 生命保険金 課税対象分500万円
  • 借金  500万円
  • お墓 <非課税>
    ※遺産より葬儀費用500万円を支払予定

この場合の相続財産総額は4,500万円となります。

相続税がかからないかも?!課税基準を知ろう

相続財産総額全てに相続税がかかるわけではありません。
上記で求めた相続財産から法律で定められている控除分を差し引き、残りの金額が課税遺産として相続税がかかります。

基礎控除

3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

法定相続人が1人なら基礎控除は3,600万円、2人なら4,200万円、3人なら4,800万円となります。
相続財産総額が控除額以下なら相続税はかかりません。

また、基礎控除以外にも相続人によって下記のような控除もあります。

配偶者控除

被相続人の配偶者が相続をする時に受けられる控除。
配偶者の法定相続分(相続財産全体の1/2)、または1億6,000万円のいずれか大きい方を相続税額から控除できる。

未成年控除

相続人が未成年の場合に受けられる控除。
相続税額から控除できる。
6万円×(20-相続時の満年齢)

障害者控除

相続人が85歳以下の障害者の場合に受けられる控除。
相続税額から控除できる。
10万円×(85-相続時の満年齢)

特に配偶者は控除額が大きいので、相続税が発生するケースはあまりないのではないでしょうか。

相続税がいくらになるのか実際に計算してみよう

課税遺産額を把握できたら、次は税率をかけて相続税額がいくらになるのが計算してみましょう。

具体例から相続税の計算をしてみましょう。
ちょっと複雑ですが頑張ってついてきてください。

■ 条件
・財産は預貯金5,000万円、不動産7,500万円
・法定相続人は息子A、娘Bの2人
・Aが預貯金、Bが不動産を相続する

[計算方法]
1)財産の全体を把握
5,000万円+7,500万円=1億2,500万円

2)基礎控除を差し引き、課税遺産を算出
基礎控除:3,000万円+(600万円×2)=4,200万円
課税遺産額:1億2,500万円-4,200万円=8,300万円

3)各々の法定相続分から相続税額総額を決定
法定相続税額にあたる金額から税率と控除額が決まります。
実際にその金額を相続するかどうかは関係ありません。

法定相続分にあたる金額税率控除額
1,000万円以下10%
1,000万円超3,000万円以下15%50万円
3,000万円超5,000万円以下20%200万円
5,000万円超1億円以下30%700万円
1億円超2億円以下40%1,700万円
2億円超3億円以下45%2,700万円
3億円超6億円以下50%4,200万円
6億円超55%7,200万円

法定相続分はそれぞれ1/2の4,150万円

4,150万円×20%-200万円=630万円
630万円+630万円=1,260万円(相続税額総額)

4)財産の相続割合に基づいて税額を按分
A相続税額:1,260万円×5,000万円/1億2,500万円=504万円
B相続税額:1,260万円×7,500万円/1億2,500万円=756万円

ケース2)Aが10歳の息子、Bが配偶者の場合
1,2、3は同様。
4)財産の相続分に基づいて税額を按分、控除を差し引く
A:1,260万円×5,000万円/1億2,500万円=504万円
504万円-未成年控除(6万円×(20-10))=446万円

B:1,260万円×7,500万円/1億2,500万円=756万円
配偶者控除(上限1億6,000万円)より、相続税額0円

ケース3)不動産を配偶者Aが相続、預貯金を息子B、Cが半分ずつ相続した場合
1,2は同様
3)各々の法定相続分から相続税額総額を決定
A分:4,150万円×20%-200万円=630万円
B,C分:2,075万円×15%-50万円=261万2,500円
630万円+261万2,500円+261万2,500円=1,260万円

4)財産の相続分に基づいて税額を按分
A:1,260万円×7,500万円/1億2,500万円=756万円
配偶者控除により相続税額0円

B:1,260万円×2,500万円/1億2,500万円=252万円
C:1,260万円×2,500万円/1億2,500万円=252万円

まとめ

  • 相続税は個別の財産ではなく、被相続人が遺した財産全体に対して計算されます。まずは預貯金や不動産、借金など財産の全体像を確認しましょう。借金や遺産から支払う葬儀代などは相続財産から相殺することができます。
  • 財産の全体像が確認できたら、基礎控除を差し引いて課税遺産を算出します。基礎控除は3,000万円+(600万円×法定相続人の数)となります。その他にも相続人ごとに控除や特例があります。特に配偶者控除は大きな控除となります。
  • 課税遺産に対する相続税率は法定相続分に金額によって決定されます。全体の相続税額が算出できたら、実際の相続割合に応じて相続税額を按分し個別の控除などを適用して個人ごとの相続税額が決定されます

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