083.不動産売却時の譲渡所得税とは?仕組みや計算方法など詳しく解説!

こんにちは!
イエステーション愛媛総合センター| 今治店の川又です

不動産を売却すると、まとまったお金が入ってくるかもしれませんが、そのお金には税金がかかる可能性があります!
今回のコラムでは、不動産を売却したときにかかる「譲渡所得税」について解説します。

譲渡所得税とはどんな税金で、どのくらいの金額がかかるのか?
計算方法や申請方法、節税できる特例などについてもお伝えします。

不動産売却でかかる譲渡所得税とは?

譲渡所得税とは、不動産を売却して利益が出た場合にかかる税金のことです。

不動産売却で得た利益「譲渡所得」に対して、所得税と住民税、復興特別所得税がかかり、これらをまとめて「譲渡所得税」と呼んでいます。

不動産を売った金額にそのまま課税されるのではなく、その不動産を買ったときにかかった費用(取得費)や売るためにかかった費用(譲渡費用)を差し引いて、残った利益である「譲渡所得」に対して税金がかかります。

取得費や譲渡費用には、こんなものが含まれます。

【取得費】

  • 土地・建物の購入代金や建築代金
  • 購入時の印紙税、登録免許税、不動産取得税など
  • 不動産仲介手数料
  • 測量費、整地費、建物解体費、設備費、改良費など

※ただし、建物の経年劣化による価値の減少分を、減価償却費として差し引きます。

【譲渡費用】

  • 不動産仲介手数料
  • 印紙税
  • 建物解体費用など
  • 名義書換費用など

譲渡所得税は給与所得などのほかの所得とは切り離して計算し、売却した翌年の2月16日から3月15日の確定申告で一緒に申告・納税をします。

不動産売却での譲渡所得税の計算方法は?申告方法も知ろう

不動産売却での譲渡所得税の申告を自分で行う場合、税額の計算も自分でする必要があります。
譲渡所得税額は、下記の計算式で求めることができます。

  • 譲渡所得=売却金額-(取得費+譲渡費用)
  • 譲渡所得税=譲渡所得×税率

税率は、不動産の所有期間によって2種類に分かれます。

  • 5年以下の短期所有:39.63%(所得税30.63%・住民税 9%)
  • 5年超の長期所有:20.315%(所得税15.315%・住民税 5%)

ただし長期所有で居住用の場合、所有期間が10年を超えると譲渡所得のうち6,000万円以下の部分へ、以下の「軽減税率の特例」を受けることが可能です。

① 課税譲渡所得6,000万円以下の部分14.21%(所得税10.21%・住民税4%)
② 課税譲渡所得6,000万円超の部分20.315%(所得税15.315%・住民税5%)

不動産売却の譲渡所得税を計算してみよう

例として下記の条件で譲渡所得税を計算してみましょう。

  • 20年前に購入した居住用住宅
  • 売却金額 4,000万円
  • 取得費 2,000万円(減価償却費差し引き済)
  • 譲渡費用 500万円

譲渡所得:4,000万円-(2,000万円+500万円)=1,500万円
譲渡所得税:1,500万円×14.21%=213.1500万円

この場合は軽減税率の特例が適用されるため、譲渡所得税は約213万円となります。

譲渡所得税の申請方法は?

譲渡所得税は、不動産を売却した翌年の2月16日~3月15日の確定申告で申請・納付します。

確定申告書は税務署で手に入りますし、期間中に税務署で作成することもできますよ。

その他国税庁ホームページ内の「確定申告書作成コーナー」で作成して郵送提出、電子申告も可能です。

不動産売却時の譲渡所得税を節税できる特別控除とは?

不動産の譲渡所得税では、条件に当てはまれば譲渡所得税を抑えられる特別控除や特例があります。
特別控除や特例を上手に使えば、ぐっと節税することができますよ!

不動産売却時に利用できる特例

ここでは、代表的な特例を4つご紹介します。
条件に当てはまるものがあれば、積極的に利用して少しでも負担を軽くしましょう!

3,000万円の特別控除

自宅の売却なら、譲渡所得から3,000万円までを控除することができるという特例です。

昨年、一昨年に同じ特例を受けていない、売却相手が親族ではないといった条件があります。

この3,000万円の特別控除を受けることができれば、譲渡所得が3,000万円以下なら譲渡所得税がかからないことになります。
先ほどの計算例の場合でも、譲渡所得が1,500万円なのでこの特例が適用できれば譲渡所得税は0円です。

マイホームの譲渡損失の損益通算と繰越控除の特例

自宅を売却したときに、取得費や譲渡費用よりも安い金額でしか売れなければ赤字になってしまいます。

自宅の売却で赤字が出てしまった場合、確定申告で給与などのほかの所得から損失分を控除し、その分の所得税を抑えることができます。
これを損益通算といいます。

また、赤字を所得から引ききれない場合、3年以内に繰り越して控除することができます。

10年超のマイホームの軽減税率の特例

計算例でも適用しましたが、さらに詳しく説明します。

これは10年超所有している自宅を売却した場合、譲渡所得のうち6,000万円以下の部分は税率がさらに下がるという特例です。
6,000万円以下の部分の譲渡所得税は14.21%、超える部分は20.315%です。

3,000万円の特別控除と併用することもできます。

マイホーム買い替えの特例

10年超所有している自宅を売却して新居を購入した場合、元の家への譲渡所得税の課税を繰り延べすることができる特例です。
将来、新居を売る際にこのときの譲渡所得税もまとめて課税・納付することになります。

所有期間が10年超、売却額が1億円以下のほか、売却から新居を購入するまでの期間、築年数や専有面積の条件などもあります。

この特例はあくまで繰り延べであって、税金が少なくなるわけではありません。

譲渡所得税の特例を利用するときの注意点

特例は併用できないものがあるので注意してください。

たとえば3,000万円の特別控除は、損益通算と繰越控除の特例、買い替え特例とは併用できません。

また、自宅の買い替えで3,000万円の特別控除を受けた場合は、新居の購入に対して住宅ローン控除を使えません。
併用できない特例に関しては、どの特例を使うのがお得なのかしっかり考えてから利用しましょう。

5年以内、10年以内といった所有期間のカウント方法についても注意点がひとつ。

所有期間は、売却した年の1月1日時点でカウントします。
「丸5年経った!」と年の途中で売却してしまうと、それは5年以内とカウントされてしまうので注意してくださいね。

不動産売却でかかる譲渡所得税以外の税金

不動産を売却したときには、譲渡所得税以外にこんな税金がかかります。

印紙税

不動産売買契約書を発行する際にかかる税金です。
金融機関などで収入印紙を購入し、契約書へ貼り付けることで納付します。

税額は契約書に記載される売却金額に応じて定められています。

不動産の売却価格印紙税額軽減税率
10万円超、50万円以下400円200円
50万超、100万円以下1,000円500円
100万円超、500万円以下2,000円1,000円
500万円超、1,000万円以下1万円5,000円
1,000万円超、5,000万円以下2万円1万円
5,000万円超、1億円以下6万円3万円

※2022年3月31日までの間に作成されるものに対しては軽減税率の措置があります。

登録免許税

登録免許税とは、不動産の登記を書き換える際にかかる税金です。
住宅ローンが残ってる不動産には抵当権がかけられていて、売却時にはこの抵当権を外さなくていけません。

抵当権抹消登記にかかる登録免許税は、不動産1件につき1,000円です。
土地と建物の両方に抵当権がついている場合は、2件で2,000円となります。

所有権移転登記の手続きは、一般的には買主が行いますので、その場合は売主の負担はありません。

まとめ

・不動産売却で利益が出たら譲渡所得税がかかる
譲渡所得税とは、不動産を売却して利益が出た場合にかかる税金のことです。不動産の売却金から、その不動産を購入するのにかかった費用、売却にかかった費用を差し引いて残った利益に対して課税されます。

・譲渡所得税の計算と申告方法
不動産の売却金から、取得費と譲渡費用を差し引いて残った利益が譲渡所得です。そこに、所有期間に応じた税率をかけて譲渡所得税を計算します。不動産を売却した翌年の2月16日~3月15日の確定申告にて、申告・納付しましょう。

・不動産売却の譲渡所得税には特別控除や特例がある
自宅の売却であれば譲渡所得から3,000万円を控除できる「3,000万円の特別控除」、不動産売却で赤字になったときの「損益通算と繰越控除の特例」など、譲渡所得税に対する特例措置があります。併用できないものもあるので、どの特例を使うと一番お得なのか考えて利用しましょう。

・不動産売却でかかる譲渡所得税以外の税金
不動産売却では譲渡所得税以外にも印紙税や登録免許税などがかかります。これらは手続きごとに納付するので、確定申告は関係ありません

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