181.第一種と第二種の低層住居専用地域の特徴を把握し、賢い不動産購入や売却を目指そう~その2
こんにちは!
イエステーション愛媛総合センター| 今治店の川又です。
都市計画法に基づき、土地の利用目的に応じて建築可能な物件が定められ、13種類の用途地域に分類されています。
第一種低層住居専用地域および第二種低層住居専用地域は、静かな住環境が保たれるように設計された低層住宅用のエリアです。
この地域は厳しい建築規制があり、土地の売買に際して知っておくべきポイントが多々あります。
購入時と売却時の注意点をそれぞれ見ていきましょう。
第一種・第二種低層住居専用地域の土地購入に関する注意点
良好な住環境に惹かれ、第一種および第二種低層住居専用地域で土地を購入したいと考える人は少なくありません。
しかし、このエリア特有の注意点も存在します。購入前に知っておくべきポイントとは何でしょうか。
近くに店舗がない可能性がある
第一種・第二種低層住居専用地域では、次の用途に店舗が限定されています。
- 日用品や食材の販売
- 食堂、喫茶店
- 理髪店、美容院
- クリーニング取次
- 洋服店
- 自転車店
- 家庭電器具店
さらに、店舗面積も制限され、席数や商品の選択肢が限られるため、客層は周辺地域に限定されることになります。
このような条件下で売上を上げるのは難しく、多くの人が店を経営しようとしないでしょう。
その結果、徒歩圏内に店舗がまったくないこともあります。
近くに病院がない可能性がある
第一種および第二種低層住居専用地域では、入院設備のない診療所しか建てることができません。
したがって、大きな総合病院は建設できず、必要な診察を近隣で受けられない可能性があります。
希望する建物が建てられない可能性がある
第一種および第二種低層住居専用地域では、建ぺい率や容積率に厳しい制限があり、希望通りの規模の建物を建てることが難しい場合があります。
他の用途地域であれば容積率の制限が緩く、敷地が狭くても3階建てにすることで希望の延床面積を確保できます。
しかし、第一種・第二種低層住居専用地域の容積率は50%から200%の範囲内に設定されており、
3階建てにしても容積率の制限により希望の延床面積を確保できず、建物の規模が制約されます。
この地域では、「建ぺい率60%-容積率100%」や「建ぺい率50%-容積率80%」のように、
容積率が建ぺい率の2倍以下に設定されることが多いため、3階建ての住宅を建てることができても形が制限され、事実上ほとんどが2階建てとなります。
第一種・第二種低層住居専用地域で大きな住宅を建てるには、広大な敷地が必要となります。
隣家が突然民泊になる可能性がある
2018年6月施行の住宅宿泊事業法(民泊新法)により、通常は宿泊施設が建築できない第一種・第二種低層住居専用地域でも、一定条件を満たせば民泊の営業が許可されるようになりました。
そのため、静かな住宅街に旅行者など外部の人が頻繁に訪れ、環境が変わる可能性が生じています。
しかし、一部の地方自治体では条例によって民泊開業を独自に規制しているところもあります。
用途地域の境界近くは静かな住環境ではないケースがある
都市計画では、多様な用途地域を組み合わせてまちづくりが進められています。
第一種・第二種低層住居専用地域も例外ではなく、他の用途地域と隣接しています。
商業系地域と接する場合、静かな住環境を求めて指定された低層住居専用地域でも、境界付近では騒がしい店舗が立ち並ぶこともあります。
そのため、用途地域の境界線近くの物件選びには慎重さが求められます。
公共交通機関が使えるエリアを選ぶ必要がある
第一種・第二種低層住居専用地域では、商業施設が少ないため日常の買い物に長距離移動が必要になることがあります。
公共交通機関が不十分で、マイカーに頼らざるを得ない地域では、自力で移動できない高齢者や子どもが不便を感じる可能性があります。
より快適な生活を送るためには、バスや電車などの公共交通機関が充実した場所を居住地として選択することが賢明です。
自営業ができないことがある
自宅での開業を検討している方は、第一種低層住居専用地域の厳格な規則に留意してください。
この地域では、許可される店舗の種類が限定され、面積も50㎡までに抑えられています。
さらに、店舗部分は居住部分より小さくなければなりません。これらの制限により、事業拡大はほぼ不可能で、
空き家を事務所として使用することも認められていません。
第一種・第二種低層住居専用地域で土地売却に関する注意点
住宅系用途地域の中で、第一種・第二種低層住居専用地域の不動産は、比較的高額で取引される傾向があります。
ただし、売却時には特有の注意点があるため、それらを事前に理解しておくことが重要です。
環境に関する重大な欠陥を明白にしておくこと
第一種・第二種低層住居専用地域の魅力は、良好な住環境です。しかし、迷惑な隣人や「ゴミ屋敷」の存在は、多くの購入希望者を遠ざけます。これらの問題を隠して売却すると、契約不適合として後日解除されるリスクがあります。環境に関する重大な欠陥がある場合、売却時に明確に開示し、買主の理解を得ることが不可欠です。
更地にしない方が税負担が少ない
中古住宅の存在が売却の障害になると考え、更地化を検討する方がいますが、これは必ずしも最適な選択ではありません。
実は、空き家であっても重要な税制上の利点があります。「住宅用地の軽減特例」により、200㎡までの土地では固定資産税が通常の6分の1に、それ以上の部分でも3分の1に軽減されるのです。この特例は見過ごせない経済的メリットをもたらします。
しかし、更地にしてしまうと、この特例が適用されなくなり、固定資産税は一気に6倍に跳ね上がってしまいます。特に第一種・第二種低層住居専用地域では、固定資産税額が高く設定されているケースが大半です。そのため、更地にしてわざわざ6倍の税額を負担するのは、経済的に賢明とは言えません。
まとめ
良好な住環境の維持を目指す第一種・第二種低層住居専用地域では、建築に関する規制が多く存在します。
そのため、大規模な病院や商業施設が少なく、一部不便さを感じる場合もあります。
この地域で住宅購入を検討する際は、公共交通機関の利便性を重要な要素として考慮してください。
日常生活に欠かせない施設や職場へのアクセスのしやすさは、生活の質に直結する重要な 要素です。
この地域の最大の魅力は、静穏な環境にあります。これらの要素を踏まえながら、夢見た暮らしが実現できる土地を探索してみてください。
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