173.接道義務とは?家の売却で押さえるべき5つのポイント
こんにちは!
イエステーション愛媛総合センター| 今治店の川又です。
不動産売買において重要なポイントは”接道義務”です。
これは、土地が幅4m以上の道路に2m以上接続していなければならないという規定です。
家を売却する際は、この義務を満たしているかどうかを事前に確認する必要があります。
今回は、接道義務の意味合いやさまざまな道路の種類など、
不動産売却時に知っておくべき土地と道路の関係性について詳しく解説します。
接道義務とは
建築基準法には「接道義務」と呼ばれる重要な規制があります。都市計画区域内で建物を建築する際、敷地が幅4mを超える道路に少なくとも2m以上接していなければならないのがこの義務の内容です。緊急車両の通行確保と避難経路の設置が目的です。適切な接道があれば人車の行き来がスムーズになり、地域の活性化も見込めます。一般住宅地の大半はこの義務を満たしていますが、道路に全く面していない土地や、道路幅・接道幅が不足する場合は、原則として建築は認められません。
建築基準法で定められた道路とは
建築基準法上、接道義務を満たす道路にはいくつかの種類が定められています。
具体的には、
- 道路法による道路(建築基準法第42条1項1号)
- 2号道路(建築基準法第42条1項2号)
- 既存道路(建築基準法第42条1項3号)
- 都市計画法などにより2年以内に造られる予定の道路(建築基準法第42条1項4号)
- 位置指定道路(建築基準法第42条1項5号)
- みなし道路(建築基準法第42条2項)
以下、それぞれ解説していきます。
①道路法の道路
これは一般に公道と呼ばれるものです。
国道、都道府県道、市町村道などが該当し、
幅員が4m以上の一般的な道路を指しています。
②2号道路
宅地造成など一定規模以上の開発事業において、開発区域内に設けられる道路が2号道路です。
都市計画法に基づく開発許可を受けて整備されるため、開発道路とも呼ばれています。
原則として幅員は6m以上ですが、通行に支障がない場合は4m以上でも認められることがあります。
開発完了後、市道に接続する開発道路は、市に移管されて市道となるのが一般的です。
③既存道路
建築基準法が施行された昭和25年11月当時から存在し、幅員が4m以上の道路は、同法上で道路と認定されています。
既存道路と呼ばれるこれらの道路は、多くが私道であるため、
その道路に接する土地で建物を建築する場合は、道路所有者や上下水道・ガス管の埋設可否を事前に確認しなければなりません。
④計画道路
道路法や都市計画法、土地区画整理法などにより、2年以内にできる予定の道路を指します。
計画中や開発途中でまだ道路が存在しなくても、そこに道路があるものとみなされます。
⑤位置指定道路
私道の中でも、特定行政庁から位置の指定を受けた一定の条件を満たす道路が位置指定道路です。
大規模な土地区画整理を行う際、敷地奥に接道義務を満たさない土地ができてしまうことがあります。
そういった場合、造成地内の私道部分に位置指定道路を設けることで、
その道路が幅4m以上あれば接道義務を満たすことができます。
通常の造成地内の私道は「敷地延長」とみなされ、各敷地に幅2m以上の接道幅が必要ですが、
位置指定道路とすれば、その道路自体が4m以上あれば足りるためです。
⑥2項道路
幅員が4m未満であっても、例外的に一定の条件を満たすことで建築基準法上の道路とみなされるのが2項道路です。具体例として、敷地に接する道路の幅員が3mの場合、敷地の1mを道路とみなして合計4mの幅員を確保すれば建物建築が認められます。敷地を後退させてみなし道路を設けるこの行為は、セットバックと呼ばれています。
接道義務について家を売却する際に確認すべき3つのポイント
家を売却する時は、敷地が接道義務を満たしているかどうかを確認しておくことが大切です。確認するためのチェックポイントは、次の3つです。
①都市計画区域内かどうか
都市計画区域外の土地には接道義務は発生しません。したがって、不動産売却に際しては、まずその土地が都市計画区域内に含まれているかを確認する必要があります。
確認方法は、自治体の都市計画課に問い合わせるか、一部の自治体ではWeb上で確認できるようになっています。
②接道している道路の種類
次のステップとして、接道している道路の種類を確認しましょう。自治体の都市計画に関するWebサービスや建築指導課で確認できます。
道路法に基づく道路であれば問題ありませんが、既存道路の場合は権利関係などを事前に把握しておく必要があります。
さらに私道で敷地の延長がなされている場合は、どのようにして接道義務を満たしているのかを詳細に調査する必要がでてくるでしょう。
③道路の幅員と接道幅
最後に、道路の幅員と敷地の接道幅の確認が重要です。特に私道で敷地延長されている場合は、
私道部分の所有権が誰にあるのか、また接道幅2mが確保できているかを確認する必要があります。
さらに2項道路に接する土地では、セットバックが必要となるため、建築できる建物に制限がかかる可能性もあります。
接道義務に関する注意点
その1●旗竿地の場合
接道義務は「幅員4m以上の道路に対して2m以上の接道幅を確保すること」が求められますが、
旗竿地の場合は竿の部分の幅にも注意が必要です。2mの接道幅さえあれば良いわけではなく、
敷地の入り口から内部に至るまでの間、全ての部分で2m以上の幅員が確保されていなければなりません。
新規に造成された旗竿地ならその点は適切に設計されていますが、
分筆によってできた土地では部分的に2m未満の箇所があるリスクがあり、確認が重要となります。
その2●共有持分道路の場合
私道において敷地が延長されている場合、道路部分に共有持分があるのが一般的です。
造成時には共有持分が適切に割り当てられていたとしても、年数が経過するにつれて権利関係に変化が生じ、
その結果として接道義務を満たさなくなっていることもあります。
したがって、共有持分の現状を確認し、現在も接道義務に違反していないかを慎重に確かめる必要があります。
接道義務を満たさない土地はどうなるのか?
①原則として建物を建てられない
接道義務を満たしていない土地では、新しい建築物を建てることはできません。既存の建物は、基準が緩かった時代に建てられたものです。
しかし、建物を解体して更地にすれば、現行の建築基準法が適用され、住宅やアパート、マンション、店舗など、あらゆる建築物の建設が認められなくなります。
つまり、建物が建てられなくなれば、その土地は資材置き場や家庭菜園としか利用できなくなってしまうのです。
②売却価格が大幅ダウン
接道義務を満たしていない土地は、利用方法が著しく制限されるため、周辺地域の土地に比べて売却価格が大幅に下がってしまいます。
物件によっては、相場価格から1割から3割程度も値下がりする可能性があります。
③但し書き道路物件として許可を受けられることもある
接道義務を満たしていない敷地であっても、「但し書き道路」に該当すれば建物を建築できる可能性があります。ただし、それには以下の条件を満たすことが前提となります。
①敷地の周辺に公園、緑地、広場などの空地があるか、空地に最低2mは接していること、
②農道や幅員4m以上の公共の道に最低2m接続していること、
③避難や安全のために十分な幅員の道路に有効につながっていることです。
但し書き道路の該当性は、敷地の状況や自治体判断により異なりますので、該当しそうであれば一度市役所へ相談するのがよいでしょう。
接道義務を満たしていない土地を売却する方法
建築基準法の接道義務を満たしていない土地は、建物を建設できないため売却価格が大幅に下がります。さらに但し書き道路の規定にも当てはまらない場合、どのように売却すればよいのでしょうか。その際のポイントを以下で確認していきましょう。
①セットバックする
前面道路の幅員が4m未満で接道義務を満たさない敷地では、セットバックという建築許可を得る方法が検討できます。セットバックとは、道路幅員が4mとなる位置まで建物を建てずに空けておき、その部分を道路とみなす手段です。この方法が可能かどうかは、不動産会社や住宅会社に相談すれば、すぐに調査してもらえるでしょう。
②隣地を購入するか隣地所有者に売却する
敷地延長部分の接道幅が2m確保できない場合は、セットバックによる解決は難しくなります。そのようなケースでは、隣地の購入または隣地所有者への売却という選択肢を検討する必要があります。隣地を自身で購入すれば接道義務を満たせ、逆に自身の土地を隣地所有者に売却してもらえば、必要分のみでなく全体を売却し、相手側で接道義務を満たした上で分筆して売却することも可能です。接道義務違反の土地は活用価値が非常に低く売却価格も安くなりますが、隣地所有者との交渉次第では相場価格での取引も望めるかもしれません。
③専門業者に売却する
個人には売却しづらい接道義務を満たさない土地でも、専門業者に買い取ってもらえる場合があります。
業者はこうした土地を安く仕入れ、時間をかけて隣接する土地をまとめて購入し、マンション用地として売却する方法を取ることがあります。
まとめ
土地の接道義務を満たしているかどうかは、その土地の活用に大きな影響を与えます。
売却を考える際、接道義務を満たしていないと売却価格が大幅に下がり、その後の処理方法も変わります。
慌てないように、最初に接道義務を満たしているか確認しましょう。
また、接道している道路の種類によっては、土地の取り扱いが難しい場合もあります。
接道義務を満たしていない、またはその懸念がある土地を売却する際には、初めから不動産会社に相談すると安心です。
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