154.離婚時任意売却のメリット・デメリットと進め方

こんにちは!
イエステーション愛媛総合センター| 今治店の川又です。

離婚する際には、共有資産としての「家」を売却し、その収益を財産分与の一環として分けることが一般的です。

今回の記事では、家を売る方法の中でも特に「任意売却」に焦点を当て、
その選択肢を考慮する上での条件、メリットとデメリット、
さらには離婚に伴う任意売却の具体的なプロセスとその際に注意すべきポイントについて詳しくご紹介します。

任意売却と離婚:いつ、どのように利用できる?

「離婚における財産分与では、共有の不動産、特に「家」の売却という選択が多く行われます。不動産は現金のように容易に分割できないため、売却して収益を分けることがスムーズな解決策となります。

しかし、住宅ローンが残っている場合は、売却時にその残債を完済する必要が生じます。売却金や貯蓄で完済が可能なら問題ないのですが、「オーバーローン」の状態、つまり売却金がローン残債を上回る場合、通常の売却手段では対応が困難です。
このような状況下で選択されるのが「任意売却」です。

任意売却は、ローン一括返済が困難な状況下で、金融機関の同意を得て抵当権を外し、売却を行う方法です。
この方法を選ぶための条件には、

①ローン支払いの滞納

②住宅ローン契約先の金融機関の同意

③不動産の共有名義者や連帯保証人からの許可

が必要とされます。
任意売却は本来、ローン支払いが困難な人々を救済するための売却方法であり、支払いを意図的に遅延させることで利用できるようになります。この手続きは、金融機関との合意と関係者全員の同意に基づいて進められ、離婚時の財産分与における重要な選択肢の一つとなっています。

離婚で任意売却を考えるなら、メリットとデメリットを確かめよう。

離婚を視野に入れる場合は、離婚前に住宅ローンの問題を解決してからの方が、後々のトラブルを回避しやすいです。
家を持っている場合は、事前に任意売却のメリット・デメリットを知って検討しましょう。

任意売却のメリット

ローン一括返済のめどがなくても売却できる

先に述べたように、住宅ローンが残っている家を売る際には、ローンを一括で返済する必要があります。しかし、任意売却を利用することで、オーバーローンの状態でも売却が実現可能です。この方法により、ローンの支払いや所有権に関する問題を避けることができます。」

「住宅ローン残債がある家を売る場合、通常はローンの完済が求められますが、任意売却を選べば、オーバーローンであっても売却が可能になります。この方法で、ローンの支払いや所有権に関するトラブルを解消できます。

競売よりも高く売れる可能性がある

ローンの支払いが滞ると、裁判所が家を差し押さえ、競売に出すことがあります。競売での売却価格は通常市場価格の約8割です。

一方、任意売却は普通の仲介売却なので、競売より高い価格で売ることが可能です。

売却費用や引っ越し代などの現金が用意できる

競売と比較すると、競売で得られる売却金は住宅ローンの返済に全額使用されます。一方で、任意売却では売却金の一部を売却に関連する費用や引越し費用に充てることができます。これにより、自己資金を用意することなく新しい生活にスムーズに移行することが可能になります。

任意売却のデメリット

スムーズに売却できるとは限らない

任意売却では通常の不動産仲介を通じて売却が行われますが、価格や市場のニーズ、タイミングによっては時間がかかることが少なくありません。結果として、希望通りの価格で売れないこともあり、「競売での売却の方が良かったかも」と思うこともあります。

一定期間、新たなローンが利用できない

任意売却をする条件として、住宅ローンの滞納状態が発生しています。
このため、ローン滞納情報が信用情報に記載され、一定期間新たなローンを利用したりクレジットカードを作ったりすることができない状態になってしまいます。

売却後もローンの返済義務は残る

任意売却では一括返済をしなくてもよいものの、ローン残債が消えるわけではなく、返済の義務は継続します。
共同名義者や連帯保証人も同じ責任を負います。その後の返済は債権者と協議し、分割払いが一般的です。

また、任意売却には数ヶ月以上かかることもあり、必要書類の作成にも大きな負担が伴います。
効率的に進めるためには、不動産会社や専門家の相談が推奨されます。

任意売却を離婚前に行うことをおすすめする理由、注意すべき点と手順について

離婚届

離婚前の任意売却が推奨される理由は、共有名義や連帯保証人としての夫婦共同の責任があるためです。離婚後の売却では、別居後も連絡を取り合う必要があり、離婚問題が長引く可能性があります。また、連絡がつかなくなり売却が中断するリスクもあります。離婚成立前なら、離婚協議と並行して協力して進められます。ただし、任意売却後もローンの返済義務が残るため、その分割支払いの取り決めも重要です。

離婚時の任意売却の流れ

離婚に伴う任意売却の手順は以下の通りです。

1.住宅ローンの残債を確認

2.物件の所有権、ローン、連帯保証人の名義を確認

3.不動産会社に売却を依頼し査定

4.共同名義者や債権者の同意を得る

5.金融機関から任意売却の許可をとる

6.広告を出して売却活動を開始

7.購入希望者との内検や交渉を行う

8.不動産売買契約を締結

9.引っ越し

10.物件の引き渡し

任意売却には金融機関との交渉など専門知識が求められるため、
経験豊富なコンサルタントや不動産会社の選択が重要です。共同名義者や連帯保証人からの同意も必要となります

まとめ

  • 任意売却の条件
    住宅ローンの残っている家は売却時にローンの一括返済が必要ですが、ローンの一括返済ができなくても任意売却なら売却可能です。ローン支払いが滞納状態であること、ローン契約先の同意があること、不動産の共有名義者、連帯保証人全員の同意があることが条件となります。
  • 任意売却のメリット
    任意売却はローン一括返済のめどがなくても売却できることがメリット。競売よりも高く売れる可能性があり、売却金から売却費用や離婚後の引越し代などを出すことも可能です。
  • 任意売却のデメリット
    売却方法自体は一般的な仲介売却のため、必ずしもスムーズに売却できるとは限りません。 ローン滞納前提としているため、任意売却後はいわゆる「ブラックリスト」状態になり、一定期間新しいローン契約はできず、ローン残債自体の返済義務は残ります。
  • 任意売却のタイミング
    任意売却は離婚前に行うのがスムーズ。既婚協議と並行して進めていくことをおすすめします。数カ月以上の時間がかかることもあり、専門的なノウハウも必要となるため、任意売却の経験が不動産会社や専門家へ依頼するようにしましょう。

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