140.介護保険料と不動産売却:驚きの関係とは!?

こんにちは!
イエステーション愛媛総合センター| 今治店の川又です。

公的な保険料、社会保険や国民健康保険などは、収入や所得によって設定されます。
不動産売却による「譲渡所得」が生じると、条件によっては保険料が増えることがあり、介護保険も同じです。

ただし、不動産売却によって介護保険料が増加するケースは稀です。
この記事では、その理由について解説します。
介護保険料の計算方法や、不動産売却が介護保険に与える影響がない場合と影響がある場合の保険料増加についても
詳しくご紹介します。

1.介護保険料の基礎を理解しよう!介護保険料の算出方法とは

介護保険料とは、介護保険制度の財源を確保するために必要な支払いのことです。40~65歳の公的保険加入者がこの保険料を負担しています。

会社員は社会保険と一緒に給料から天引きされ、国民健康保険に加入している人は国民健康保険料に上乗せして徴収されます。
介護保険料の設定は収入や所得に応じて行われますが、保険の種類によって違いがあります。例えば、サラリーマンや公務員が加入する社会保険や共済保険では、標準報酬月額をもとに介護保険料が計算され、加入者と事業所が負担します。

不動産売却による「譲渡所得」は標準報酬月額には影響を与えませんので、社会保険や共済保険に加入している場合、不動産売却による介護保険料の増加はほとんどありません。

ただし、自営業者国民健康保険に加入している方は、年間所得に基づいて介護保険料が計算されます。この所得には、不動産売却による「譲渡所得」も含まれます。そのため、国民健康保険に加入している場合、不動産売却により1年間の所得が増加すると、次年度の介護保険料が上昇する可能性があることに留意すべきです。

2.不動産売却と特別控除:介護保険料の上昇を防ぐ方法とは?

国民健康保険に加入している方々が不動産売却による譲渡所得の増加で介護保険料が急激に上昇するのでしょうか?

その答えとしてはNOです。

なぜなら、2018年の介護保険制度改正によって、譲渡所得と介護保険料の取り扱いが大幅な見直しされたからです。

不動産売却による利益は通常、所得税の対象ですが、特定の条件(一定のマイホームの売却等)を満たす場合には「特別控除」としてその利益から差し引くことができます。
この特別控除が適用されれば、介護保険料の計算においても特別控除後の所得が基準となります。従って、不動産売却時に特別控除を利用すれば、譲渡所得を軽減できます。

特別控除の適用により所得が低くなれば、介護保険料に対する影響もありません。

3.介護費用を節約!不動産売却で叶える特別控除の効果

不動産売却時に特別控除が適用される条件は多岐にわたりますが、そのうち介護保険料に影響するのは、以下の条件です。

(1) 土地等を収容交換等のために売却した場合の5,000万円(最大)
(2) 土地等を特定土地区画整理事業等のために売却した場合の2,000万円(最大)
(3) 土地等を特定住宅地造成事業等のために売却した場合の1,500万円(最大)
(4) 農地等を農地保有の合理化等のために売却した場合の800万円(最大)
(5) 居住用財産を売却した場合の3,000万円(最大)
(6) 特定の土地を売却した場合の1,000万円(最大)
(7) 上記の1~6のうち2つ以上の適用を受ける場合の最高限度額5,000万円(最大)
※厚生労働省「介護保険法施行令等の一部を改正する政令の公布について」より

最も一般的なケースは(5)の「居住用財産を売却した場合の3,000万円(最大)」です。
これは「3,000万円の特別控除」として知られ、自己居住用不動産を売却する場合、売却所得から最大3,000万円を控除できる制度です。

この特別控除を受けるためには、以下の条件を満たす必要があります。

・売却する不動産が自己居住用であること

・売却から3年以内に確定申告を行うこと

・売却相手が特定の家族関係にないこと

・他の特別控除を同時に受けていないこと

その他、公共事業、災害復興などの特定目的のために不動産を売却した場合も特別控除が適用されることがあります。
特別控除を受けるためには、各条件を確認し、売却の翌年に確定申告を行う必要があります。売却した場合も、特別控除の適用対象となることがあります。特別控除を利用するためには、各条件を確認し、売却の翌年に確定申告を行う必要があります。この特別控除を利用すれば、介護保険料に影響を及ぼさず、不動産売却をより賢く計画することができます。

4.特別控除の落とし穴:売却益ありで介護保険料アップの可能性

介護保険料が増加するかどうかは、以下の計算式を適用して考えることができます。

売却価格 – (取得費 + 譲渡費用) – 特別控除

不動産の売却価格がそのまま譲渡所得(売却益)になるわけではありません。
不動産を購入する際にかかった費用である「取得費」と、今回の売却でかかった費用である「譲渡費用」を差し引いたものが、譲渡所得となります。

さらに、譲渡所得から特別控除を差し引いた残りが、課税所得に加算されることになります。

仮に譲渡所得が2,500万円あったとしても、3,000万円の特別控除が適用できれば譲渡所得は0円となり、所得が増加することはありません。この場合、介護保険料にも影響はありません。

しかし、特別控除を受けられない場合、特別控除を差し引いても譲渡所得がある場合は、所得が増加し、介護保険料も上昇する可能性があります。

介護保険料は自治体によって異なりますので、各自治体にご相談が必要になってきます。

参考:今治市の介護保険料の算定方法

まとめ

介護保険料は収入や所得によって決まる

介護保険料は収入や所得によって決まります。

国民健康保険に加入している場合は、不動産売却の譲渡所得で介護保険が上がってしまう可能性が。
社会保険や共済保険の場合は不動産売却による介護保険料への影響はありません。

不動産売却で特別控除を適用できれば介護保険料に影響が出ることは少ない

税制では、一定の条件を満たす不動産売却で譲渡所得を控除する特別控除の適用を受けることができます。

2018年の介護保険制度改正により、介護保険料に関しても特別控除適用後の所得額で算定できることになりました。
特別控除の適用で所得税や住民税が上がらずにすんだ方は、
介護保険料への影響もないでしょう。

介護保険料算定に影響する不動産売却の特別控除

一番よくあるケースは、

マイホームを売却した際の3,000万円の特別控除です。

そのほか公共事業や街の開発、災害復興のために不動産を売却した場合などにも特別控除の適用があります。それぞれの条件を満たし、確定申告する必要があります。

特別控除が適用外・譲渡所得がある場合は介護保険料が上がる可能性も

国民健康保険に加入しているケースで、特別控除が受けられない場合、または特別控除を受けても譲渡所得がある場合は、所得が増えることによって介護保険料が上がる可能性があります。

介護保険料は自治体ごとに異なり、年度ごとに見直しがされています。

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