088.住宅ローンを滞納したらどうなる?競売・任意売却の流れ

こんにちは!
イエステーション愛媛総合センター| 今治店の川又です

収入が大幅にダウンしたり、退職や病気など、様々な理由で住宅ローンが払えなくなってしまうことがあります。もしローンが払えなくなってしまったら、どうなってしまうのでしょうか。

家が差し押さえられ、競売にかけられる前にどのような行動を起こすべきかを詳しく解説していきます。

住宅ローンを滞納するとどうなるのか

収入減など経済状況の悪化により住宅ローンの返済が厳しくなり、滞納してしまうと、その後はどうなるのでしょうか。

住宅に設定される抵当権の意味合いとは

住宅ローンを組むと、対象の住宅に対して抵当権を設定します。抵当権とは、不動産を差し押さえられる権利です。

抵当権を設定する理由は、万が一、住宅ローンが払えなくなった場合に、融資した金融機関が抵当権を行使して不動産を売却し、売却代金で住宅ローンの残債を回収するためです。

最終的には差し押さえられ競売にかけられる

住宅ローンを滞納するといずれ住宅は差し押さえられますが、滞納後すぐに差し押さえられるわけではありません。

最初のうちは金融機関などから数回の催告があり、それでも滞納が続く場合はいくつかの段階を踏んで、最終的に競売にかけられることになります。

競売の前に任意売却という選択もある

住宅ローンの滞納が始まってから競売にかけられるまでは、一般的に半年~1年程度かかります。

この間、住宅ローン滞納者はただ事態を放置していてはいけません。黙っていれば競売にかけられますが、「任意売却」という方法で不動産の売却を進めることもできるからです。

対処は早い方が良いのですが、住宅ローンを滞納する前は、売却できないことがあります。住宅を売却するには、そもそも「住宅ローンを完済」している必要があるからです。

その点、任意売却は、「売却しても住宅ローンを完済できない」という場合でも、債権者である金融機関の同意を得た上で売却を進めることができます。

住宅ローン滞納後の具体的な流れ

では、住宅ローンを払えなくなるとどうなるのか、一般的な流れを説明していきます。

①滞納1~3カ月目:催告書・督促状が届く

住宅ローンを滞納すると、まずは債権者である金融機関から電話や通知書類が届きます。それでも返済せずにいると、返済の催告書や督促状、来店依頼状が届くようになります。

②滞納3~6カ月目:個人信用情報に事故記録が載る

催告書や督促状が届いても対応せずにいると、個人信用情報機関の金融事故記録に名前が記載されます。

事故記録は、いわゆるブラックリスト。ここに記載されると、クレジットカードやマイカーローンなどの審査に通らなくなってしまいます。事故記録が載る時期は金融機関により異なりますが、通常は3カ月程度で登録されます。

③滞納6~7カ月目:期限の利益喪失(ローンの一括支払い請求)

この時点でも無視を続けていると、「期限の利益を喪失した」旨を示す通知が届きます。

「期限の利益」とは分割して支払う権利のことで、この権利を失うということは「住宅ローン残高の一括返済」を請求されることを意味しています。

④滞納7~9カ月目:保証会社から代位弁済通知書が届く

期限の利益喪失後、保証会社から「代位弁済通知書」が届きます。

代位弁済とは、滞納者に代わって保証会社が金融機関に住宅ローンの残債を一括返済することです。代位弁済通知書が届いた後は、金融機関ではなく、保証会社に残債を返済しなければなりません。

⑤滞納9~10カ月目:担保不動産競売開始決定通知

代位弁済した保証会社は、残債を回収するために裁判所に競売を申し立てます。

競売開始決定が出ると、あなた宛てに「担保不動産競売開始決定通知」が送られてきます。

⑥滞納10~16カ月目:競売入札通知書

競売にかけられた不動産に対して裁判所による現況調査が実施され、競売入札が開始されます。入札の結果、売却者が決定すると、所有権は落札者に移り、強制的に立ち退きを要求されます。

実際にかかる期間は、多少前後することがありますが、概ねこの程度の期間で手続きが進められていきます。

任意売却のタイミングとメリット

競売を避けるためには、任意売却という方法で不動産を売却する方法があります。任意売却が可能なタイミングや、競売と比べた時のメリットを具体的にみていきましょう。

任意売却とは?

任意売却は、住宅ローン滞納が始まってから競売までの間に選択できる売却方法です。

競売は市場価格よりもかなり安く売却されてしまうことが多く、競売後に住宅ローンが完済できる見込みはほとんどありません。

その点、任意売却は通常の売却と同程度の価格での売却できる可能性があります。家を失うことに変わりはありませんが、売却価格が少しでも高い方が、残債を圧縮することができます。

任意売却のタイミング

任意売却ができるタイミングは、「住宅ローンを滞納してから競売入札が開始されるまで」です。

裁判所から競売入札開始の通知が送られてきたら、もう任意売却を選択することはできません。また単に「競争入札が開始されるまで」に任意売却を進めていれば良いのではなく、この時までに「売却を完了させておく」必要があります。

住宅を売却するには、査定や見学希望者の案内、売買契約、ローン審査といった一連の流れがあります。この全てを競売入札開始までの間に終えていなければなりません。

住宅ローンを返済できる目処が立たないようであれば、できるだけ早い段階で任意売却に向けて動き出すべきです。

任意売却のメリット

競売と比較し、任意売却にはどのようなメリットがあるのでしょう。

①競売より高く売却できる

一般的に、任意売却は競売より高く売却できる可能性があります。

先述の通り、競売入札開始の前までに売却を完了しなければならないという期限があるものの、基本的に通常の不動産売却と同じ方法で売却を進めることができます。

住宅を高く売却できれば売却後のローン残債を減らすことができ、その後の返済計画が楽になります。

②周囲に住宅ローンの滞納を知られずに済む

競売にかけられると物件の情報が誰でも閲覧できる状態で公開されるため、近隣住民や知人に知られる可能性があります。

一方、任意売却であれば周囲に事情を知られずに売却することができます。

③金融機関と売却後の返済プランを交渉できる

売却後に残ってしまった住宅ローンの返済方法を、債権者である金融機関と話し合って決めることができます。返済が免除されることはありませんが、経済状況に合わせ、月々の返済額を考慮してもらいやすくなります

また任意売却であれば、金融機関との交渉次第で最高30万円まで売却代金から引越し費用を融通してもらえる可能性があるほか、引っ越し日を金融機関や買主と話し合って決めることができます。

競売では、引越し費用は自分で用意する必要がある上、引越し日も決められているため、問答無用で退去しなければなりません。

任意売却の流れ

任意売却の流れは次のようになります。

①催告書や督促状が届く

住宅ローンを滞納すると、債権者である金融機関から電話が来たり、催告書や督促状が届きます。

②金融機関や任意売却の専門家に相談する

不動産の売却が完了するまでには時間がかかります。そのため催告書や督促状が届いたら、できるだけ早い段階で任意売却の意向を金融機関と任意売却の専門家に相談しましょう。

専門業者であれば、周囲の人に聞かれないよう、プライバシーに配慮したメールや個室での対応もしてくれるはずです。

③不動産の価格査定

任意売却を進める方向が決まったら、通常の不動産売却と同様に不動産会社による価格査定が行われます。ただし、任意売却には期限があるため、売却が間に合わないということのないよう、適切な査定が必要です。

④金融機関との交渉

価格査定後、提案内容に納得できたら任意売却業者と媒介契約を締結。その後は、任意売却業者が金融機関と交渉を行います。

⑤不動産の売却活動

金融機関との交渉後、通常の不動産売却と同じ流れで売却活動が行われます。

広告活動や案内活動などの売却活動を行い、買主が見つかって価格交渉が済んだら売買契約を締結し、買主がローンの承認を得られたら決済~引き渡しとなります。

⑥引越し~売買代金の清算

買主のローン審査が承認され、ローンの実行日が決まったら、その日までに引っ越しを済ませます。この時、金融機関との交渉次第では、最大30万円まで引越し費用を融通してもらうことができます。

住宅ローンを払えなくなる2大理由

住宅ローンを組んだ時には無理のない返済計画を立てたはずなのに、なぜ途中で返済が難しくなるのでしょうか。

滞納に至る主な理由は次の2つです。いずれも、将来誰にでも起こりうることであり、他人事ではありません。

理由1:収入減を理由とした滞納

病気やケガで働けなくなったり、減給や転職、離婚などにより収入が減ってしまったケースです。急な経済状況の悪化で、住宅ローンを払えなくなる人は多くの割合を占めます。

事前に回避することは難しいため、対応策としては、万が一、収入が減っても住宅ローンを返済していけるだけの貯蓄を作っておくことが挙げられます。

住宅ローン用の口座を作り、少なくとも約半年分、可能であれば2年分以上の資金を貯めておくのが理想です。

理由2:支出増を理由とした滞納

逆に、収入は変わらないのに支出が増えたことでローンの返済が厳しくなることがあります。

支出増にも前述と同様に、貯蓄しておくことで対処できますが、まずは「身の丈に合った生活」ができているか、家計を見直して無駄な支出を減らすことも必要です。

住宅ローンを払えなくなった方の体験談

ここで、実際に住宅ローンを払えなくなってしまった方の体験談をご紹介します。

体験談1:定年退職で住宅ローン返済が困難に

Aさんは35歳の時に35年の住宅ローンを組みました。ところが会社の規定により57歳で定年退職が決まり、同じ会社に再就職したものの収入は激減。住宅ローンが支払えなくなってしまいました。

借りた時は退職金でローンを完済できると思っていましたが、蓋を開けてみると支給額は想定よりも大幅に減額され、退職金による完済は出来ませんでした。

その挙句、ローンを滞納してしまい任意売却を選択。

大切なマイホームを失った上にローンの残債を背負って老後を送らなければならなくなりました。

体験談2:うつ病の発症による収入減

Bさんは30歳の時に5,000万円の住宅ローンを組んでマンションを購入しました。購入時は会社の業績は良く、給料も順調に増えていたのですが、管理職に昇進したことで残業代がつかなくなり、返済がやや苦しくなりました。

その後、管理職という立場で様々なストレスに悩まされるようになり、うつ病を発症。これには、無理な額の住宅ローンを借りたことによる金銭的なストレスも重なったのではないかと考えています。

休職せざるをえなくなり、傷病手当金は支給されるものの、家族を養いながらローンを返済していくのは到底難しい額でした。

このままでは立ち行かなくなると思い、妻と相談して任意売却を選択しました。今では家族と一緒に新しいスタートを切っています。

住宅ローンを支払えなくなったら早期に相談を

経済状況が厳しくなり、住宅ローンを滞納したり払えなくなりそうな場合には、できる限り早めに解決に向けて行動することが大切です。

金融機関にリスケジュールを相談する

任意売却は、住宅ローン滞納後しかできない選択です。

一方で、住宅を売却するには住宅ローンの残債を一括完済する必要があり、住宅の売却代金で完済できない場合には差額を現金で用意しなければなりません。

そのため住宅ローンの返済が難しくなると「任意売却か競売を選択しなければならない」のですが、金融機関によっては滞納前に相談することでリスケジュールに応じてもらえる可能性があります。

リスケジュールは、住宅ローンの返済期間を延ばしてもらって月々の返済額を抑えたり、一定期間だけ金利のみの返済にしてもらう方法です。

月々の返済額に苦しんでいるのであれば、まずはできるだけ早期に相談してみること。現実的に可能な返済計画へ見直せれば、競売も任意売却もせずに済むかもしれません。

競売より任意売却を選ぶべきだが期限に注意

住宅ローンを滞納してしまったら、競売か任意売却かを選ぶしか道はありません。どちらを選ぶべきかは、説明してきた通り、競売よりも多くのメリットがある任意売却の方を選ぶべきです。

ただし、任意売却が行える期間は競売入札日の前日まで。この日までに任意売却の手続きを全て終えている必要があるため、できるだけ早く金融機関や専門業者に相談しましょう。

滞納前に動けば住み替えで対応できる可能性も

住宅ローン滞納に至るもっと前の段階で「今後は返済が厳しい」と判断できれば、売却して賃料の安い賃貸に引っ越したり、ローン借入額を安く抑えられる物件を購入するなどの対応も可能です。

特に後者は、「売却額よりも住宅ローン残高が大きい」オーバーローンの場合でも、新しく購入する物件を担保に足りない資金を融資してくれるローンもあります。

いずれにせよ、ローンの滞納は大変な事態です。気づいた段階でできるだけ早く行動すれば、状況を少しでも良くできる選択肢が増えることになります。

まとめ

住宅ローンを滞納してしまったらどうなるのか、競売までの流れや、任意売却の流れとメリットなどを詳しくお伝えしてきました。

多くの方にとって、住宅ローンの返済は、何十年にも渡る長丁場です。その間には様々な原因で経済状況が悪化することがあり、決して他人事ではありません。

せっかく手に入れたマイホームを追い出され、債務だけが残ってしまうことのないよう、返済できない可能性が出てきた段階で、できるだけ早く金融機関や不動産会社に相談し、最善の策を取れるよう対処してください。

住み替えの相談や無料査定、相続問題などどんなことでお気軽にご相談ください!

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