022.不動産の売却時に健康保険料は上がってしまう?

こんにちは!
イエステーション愛媛総合センター| 今治店の川又です

土地や自宅など不動産の売却で利益が出た時には税金がかかるお話は、以前「家や土地を売却した際の確定申告について理解しよう!」でしました。
実は税金だけでなく、健康保険料にも影響があることをご存知ですか!?

今回は不動産の売却と健康保険料の関係のお話。
保険料が値上がりする条件や値上がりする額、影響のない場合などをご紹介します。

不動産の売却で、健康保険料が値上がりする条件

健康保険と一言で言ってもサラリーマンが加入する健康保険組合による健康保険や公務員が加入する共済保険、自営業の方が加入する国民健康保険など種類はさまざまです。

これらの中で不動産売却が影響するのは国民健康保険です。
国民健康保険の保険料は昨年の所得に応じて決まります。

不動産を売却して出た利益は所得となり、その金額によっては国民健康保険料の値上げにつながるのです。

国民健康保険料に影響が出るのは以下の場合です。

■売却代金-(取得費用+譲渡費用)=利益が出た場合

不動産売却による利益とは、その不動産を取得する際にかかった費用と売却にかかった費用を差し引いた残りの金額です。
ここで利益が出ると、以前ご説明した不動産譲渡所得がかかると同時に翌年の国民保険料に影響がでます。

不動産売却でかかる譲渡所得税についてはこちらでも詳しくご紹介しています。

保険料が上がらないのはどんな場合?

不動産売却で利益が出ると保険料に影響があるのですが、マイホームなどを売却した場合は確定申告することで3,000万円の特別控除を受けることができるます。

この特別控除を受けることができれば、国民健康保険料に影響が出るのは下記の式に当てはめてプラスになった場合のみとなります。
【売却代金-(取得費用+譲渡費用)-3,000万円】

自宅の売却の場合はほとんどの場合プラスにはならず、国民健康保険料は上がらないでしょう。

また、上記の計算式に当てはめてプラスになったとしても、保険料に影響が出ないパターンもあります。
それは会社員や公務員など健康保険組合などによる健康保険や共済保険に加入している場合です。
これらの健康保険や共済保険の保険料の算定基準は標準報酬月額(給料の額)となり、不動産売却による利益は影響しないのです。

まとめると、保険料が上がらないのは以下の場合です。

  • マイホームの売却で、【売却代金-(取得費用+譲渡費用)-3,000万円】がプラスにならない場合
  • 健康保険に加入している会社員の場合
  • 共済保険に加入している公務員の場合

健康保険の被扶養者の場合は注意が必要

健康保険や共済保険加入者は不動産売却益が保険料に影響しないと説明しましたが、配偶者や子供など収入の少ない家族を健康保険や共済保険の被扶養者にしている場合は注意が必要です。

被扶養者が所有する不動産を売買して利益が出た場合は、金額によって扶養から外れなくてはいけない場合があります。
扶養から外れた方は個別に国民健康保険に加入しなくてはいけないので、保険料が新たに発生してしまいます。

健康保険の扶養から外れる条件は健康保険組合等によって異なりますが、おおむね年間130万円以上の収入(60歳以上は180万円以上)がある、または不保険者の収入の1/2以上の収入がある場合は一時的に扶養から外れてしまうことになります。

健康保険料はいくら値上がりするの?

不動産売却で利益があった場合、国民健康保険料がどのくらい値上がりするのか計算してみましょう。

国民健康保険料を構成する要素は4つ。

  • 所得割:所得金額によって算出。「総所得金額―基礎控除額(33万円)×保険料率」
  • 資産割:固定資産税額によって算出
  • 均等割:世帯当たりの加入人数によって算出
  • 平等割:自治体ごとに決まった金額

所得額が影響するのは上記のうち所得割の部分です。
保険料は年度や自治体、年齢などによって異なります。

例として平成30年度の札幌市の場合で計算してみましょう。
※40歳の方の場合
所得割の保険料率は14.65%となります。

■不動産売却で100万円の利益があった場合
100万円×14.65%=146,500円 増

上記の増額分に、資産割、均等割、平均割の金額を足した合計金額が年間の国民健康保険料となります。

※保険料額は各項目ごとや合計金額に上限があります。詳しくはお住いの自治体にお問い合わせください。

まとめ

  • 国民健康保険は昨年の所得金額から保険料が決まるので、不動産売却で利益が出た場合は保険料が値上がりする可能性があります。
  • マイホームの売却の場合は3,000万円の特別控除が受けられるため【売却代金-(取得費用+譲渡費用)-3,000万円】でプラスにならない限り保険料への影響はありません。
  • 健康保険組合などによる健康保険に加入している会社員、共済保険に加入している公務員の場合、保険料は標準報酬月額を基に決まるので不動産売却益による影響はありません。
  • 会社員や公務員の健康保険の扶養に入っている家族が不動産売却益を得た場合、金額によっては扶養から一時的に抜けなくてはいけない可能性があります。
  • 不動産売却益は国民健康保険料算定基準の「所得割」に影響します。保険料率は年度や自治体、年齢ごとに異なりますので、詳しくはお住いの自治体へ問い合わせてみましょう。しましょう。

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