150.不動産を移す時、「譲渡」と「贈与」どっちがいい?~後編~

こんにちは!
イエステーション愛媛総合センター| 今治店の川又です。

不動産の名義変更時に発生する予想外の税金と、その節税対策について知っておくことは重要です。

これまでのシリーズでは、不動産を譲渡、贈与、相続する際のそれぞれの特徴と、税金の種類や税額の違いに焦点を当ててきました。

今回の記事では、名義変更における注意点と有効な節税方法について解説します。不動産の名義変更を検討している方、
または計画中の方は、この情報を活用して、余分な税金を避けましょう。

不動産名義変更に潜む落とし穴:贈与税がかかるケースについて

譲渡として不動産を有償で売却した場合でも、特定の状況下では相手方に贈与税が課せられることがあります。
この意外な事態について、売却後になぜ贈与税が適用されるのか、その背後にある理由と条件を詳細に解説します。

「みなし贈与」に当てはまるケース

親子や親族間での不動産取引において、市場価格より大幅に安い価格で売却すると、この取引は「贈与」と見なされ、贈与税の対象になる可能性があります。

例えば、市場価値5,000万円の不動産を100万円で子に売却した場合、子は4,900万円の利益を受けることになり、これが「みなし贈与」として贈与税が課されます。

親族間での不動産売買では、贈与税を避けるためにも市場価格での取引を心がけることが重要です。

「借金の免除」を受けたケース

市場価値で親族に不動産を売却し、売主に利益がある場合、不動産譲渡所得税が適用されることがあります。

しかし、実際に支払われた証拠がない場合、税務署はその取引を「架空の売買」と見なし、購入者に贈与税を課す可能性があります。

売買取引は通常、銀行振込などの記録が残りますし、購入のための資金の出所も明らかです。
購入に住宅ローンを利用した場合、それが取引の存在を裏付ける確かな証拠となります。

扶養義務を越える援助を受けた事例

「民法によると、直系血族や兄弟姉妹は互いに扶養義務を負うとされています(877条1項)。この扶養義務の範囲内での财産援助は贈与税が非課税です。

日常生活に必要な支出、例えば生活費や教育費は課税されませんが、不動産の贈与などはこれらの通常範囲を超えると見なされ、贈与税が課せられます。

「不動産名義変更における節税戦略の解説

不動産名義変更は通常、税金の課税対象となりますが、譲渡や相続の際には利用可能な控除制度が存在します。

これらの制度をうまく活用することで、節税することが可能です。具体的な方法については以下で紹介します。

①贈与額を年間110万円以内にする

高価な不動産を直接贈与する代わりに、それを第三者に売却し、得た現金を年間110万円以下の生前贈与で分割して渡す方法があります。

この暦年贈与の非課税枠を活用すると、贈与税を回避できます。ただし、贈与する際には銀行振込などの記録を残し、110万円以内の贈与であることを証明できるようにすることが重要です。

また、連年贈与と見なされないためには、毎年異なる時期や金額で贈与することが必要です。

相続開始前3年以内の贈与は、遡って相続財産に加算されるので注意が必要です。

②「相続時精算課税制度」を利用する

60歳以上の父母や祖父母から18歳以上の子や孫への生前贈与には、「相続時精算課税制度」が適用されます。

この制度では、2,500万円までの贈与に対しては贈与税が発生せず、2,500万円を超える部分には一律20%の贈与税が適用されます。
贈与者の死後、贈与財産は相続財産に加算され、既に支払われた贈与税額を相続税から控除します。

ただし、この制度と暦年贈与の両方を適用することはできず、一方を選択すると他方は適用できなくなります。

③「夫婦の間で居住用不動産を贈与したときの配偶者控除」を利用する

「夫婦の間で居住用不動産を贈与したときの配偶者控除」は、婚姻期間が20年以上の夫婦間で居住用不動産を贈与する場合、特定の条件を満たせば、「配偶者控除」として最大2,000万円の控除を受けることができます。これは基本の110万円の基礎控除に加えて適用されますが、夫婦一組につき一生に一度のみの特例です。

まとめ

不動産を他人に移す方法は、「譲渡」「贈与」「相続」の3つがありますが、生前に選択可能なのは譲渡贈与です。

親子間での不動産承継では、親は無償で贈りたいと考えますが、贈与税の負担が大きいため、譲渡が選ばれることもあります。

譲渡では現金取引が必要で、子が資金を用意するか住宅ローンを利用します。しかし、これは後の相続時に不均衡を生む可能性があります。そこで、遺言書の作成や暦年贈与を活用する方法もあります。税金や控除制度の選択は慎重に行い、不動産の扱いでご不安な点があれば、愛媛総合センターにご相談ください。

※コラム内容は掲載当時の最新情報となり、現在改正されている場合があります

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