133.売却手続きの委任手続き「解説②」

こんにちは!
イエステーション愛媛総合センター| 今治店の川又です。

やむを得ない事情から、所有する不動産の売却手続きを自ら行うことができず、代理人に委任する場合があります。

前回のコラムでは、代理人に委任するにはどんなケースがあるか、代理権委任状の書き方や必要書類などをみていきました。今回は、代理人を立てる際に注意すべき点について解説していきます。

代理人による不動産売却の注意点

代理人を立てて不動産を売却する場合、何でも代理人に任せておけばいいというものではありません。トラブルが生じないよう、いくつか注意すべきポイントがありますので押さえておきましょう。

信頼のおける人に委任する

代理人には、不動産の所有者本人と同等の大きな責任と権限があります。そのため、代理人の選任には細心の注意が必要です。

頼りになるからといって、親族の中でも発言力を持っている人やボス的存在の人に委任すると、独断で重大な事項を決めてしまい、取り返しのつかないことになりかねません。親族に依頼する場合は、配偶者、親、子など、信頼できる人に限定しましょう。

親族では心許ないという場合や、専門的な見地から判断を求める場合は、司法書士や弁護士に委任するという方法もあります。費用は発生しますが、権利関係が複雑な場合などは専門家への依頼も検討してみましょう。

白紙委任は危険

委任状には付与する権限の範囲を記載しますが、一部または全ての項目が空欄になっているものを、一般的に「白紙委任状」といいます。

商談の段階から委任し、流れを掴めないために付与する権限の範囲を決めかねて空欄にするということもあると思いますが、それを代理人が悪用する可能性もあり、非常に危険です。

「信頼できる人だから大丈夫だろう」と考えず、空欄の項目が無いかどうかしっかり確認しましょう。委任の範囲を確実に明記することで、起こりうるトラブルを防ぐことができます。

不動産取引では本人確認が必要

不動産売買契約では、委任状があれば代理人よる契約が可能であり、「代理人の行為は所有者本人の行為と同等の効力がある」と説明してきました。

そのため、不動産の売却が完了して法務局に申請をすると、書類要件が整っていれば登記書類は受理されます。もしも所有者本人になりすました人物が委任状を偽造して売買契約を行うと、真の所有者の知らないところで不動産が売却されてしまうことになります。

このような詐欺事件が実際に起こりうることから、登記手続きを代理する司法書士は、基本的に登記申請前に所有者本人と面談し、本人確認と売却の意志確認をすることが義務付けられています。代理人に委任したとしても、所有者本人の正体が分からないままでは、不動産の売却はできないようになっています。

「犯罪収益移転防止法」による本人確認がある

平成20年に施行された犯罪収益移転防止法により、宅地建物取引業者は特定事業者として指定され、本人確認書類の写しの保管が義務付けられました。

本人が取引の場に現れても、真に土地所有者名義人本人であることを確認するために、マイナンバーカードや運転免許証、健康保険証等の提示が求められます。本人と面談できない場合は、取引関係書類を転送不要の書留郵便で送付し、本人確認します。

近年、大手不動産会社が「なりすまし」による巨額の詐欺事件に巻き込まれた事件が大きく報道されました。そのため最近は、宅建業者自らが所有者本人と直接面談をした上で、本人確認をするケースが増えているのです。

司法書士による本人確認がある

犯罪収益移転防止法によって、司法書士も特定事業者として指定されています。本人確認書類の写しの保管が義務付けられているほか、基本的に本人と直接面談の上で本人確認を行います。

その際には、実印、印鑑証明書、住民票、戸籍事項証明書、マイナンバーカード、自動車運転免許証、パスポートなどの顔写真付き証明書といった書類の提示が求めており、ヒアリングも行なって本人であることの裏付けを取ります。

ヒアリングでは、生年月日、年齢、干支、住所や過去に住んだ土地の所在地、取引物件の経緯などを聞きます。これらの質問に滞りなく答えられるかどうかで、相手が間違いなく本人かどうかを判断します。

本人の「意思」も確認を求められる

不動産取引において、本人に取引の意思があるかどうかを確認する作業には、非常に重要な意味があります。

例えば親族が強引に売却を進めたとしても、手続きをする司法書士に所有者本人が売却の意思を示さなければ、移転登記は行われません。

また、認知症などで本人の意思能力に問題があると判断されれば、売買契約は無効になります。有効な契約とするためには、家庭裁判所に法定後見人を選出してもらった上で手続きを進める必要があります。

契約締結後に、司法書士が「本人に意思能力がない」と判断した場合は、仲介業者は大きな損害を被ることになります。そのため、土地所有者が高齢で判断能力に疑いがあると思われるケースでは、仲介する宅建業者が医師の診断書を取る、契約する前に司法書士に判断を仰ぐなど、慎重な手続きを踏んで自衛することがあります。

まとめ

不動産売却の手続きは、所有者本人立ち会いの元で行われることが原則

やむを得ない事情があれば代理人に委任することが可能です。

しかし不動産は高額な取引。トラブルが起こらないよう慎重に対応しなければ、商談が白紙に戻ってしまうなど、のちに大きな損害を被ってしまう恐れもあります。

委任の役割を正しく理解し、信頼できる人を代理人に選ぶことはもちろん、不備のない委任状を作成して手続きを進めるようにしましょう。注意点をふまえてしっかり準備し、安心かつスムーズな不動産売却を目指してください。

また、信頼できる代理人選びだけでなく、仲介する不動産会社選びも重要です。しっかりサポートしてくれる業者なら、不動産取引に不慣れな方でも安心して商談や手続きを進めることができます。

不動産に関する手続き

前の記事

132.売却手続きの委任手続き「解説①」
不動産に関する手続き

次の記事

134.不動産売却の決済?必要書類?注意点?