買取用語「専任返し」

118 仲介を通した買取業者への売却」のバッドケース

ここまで、複数回にわたりお話してきました「買取」について、今回が最後となります。

前回は「仲介業者が直接買取をする場合」のバッドケースをお伝えさせて頂きました。

今回は「仲介を通した買取業者への売却」のバッドケースに触れておきたいと思います。

買取業者は、物件を購入し転売するというサイクルの中で利益を創出しています。

つまり、買わない限り利益がでませんので、基本的には常に購入候補の物件を探しています。

そして購入をする為に最も効果的なのは、抱える物件数の多い仲介業者からの紹介ルートを確保することです。

しかし以前お伝えしたように、買取業者は数が増え続けており競合ひしめく業種です。

また、多くの仲介営業は基本的に得意先の業者が確立されているので、出来上がったネットワークに横入りするのは容易ではありません。

他の競合よりも先んじて情報を入手し、購入までたどり着くのは非常に難易度が高いのです。

そのため、物件を買う為の手段として、買取業者が仲介業者に対しインセンティブを用意することがあります。

いくつかのパターンがありますが、最も主流なのは「専任返し」と呼ばれるもので、買取業者が仲介業者に対し「購入後の転売時にも、必ず御社に仲介してもらって売却しますよ」と約束をすることを指します。

つまり、「購入時だけでなく、売却時も御社に仲介手数料を必ずお支払いします」という約束です。

この形は仲介業者にとっては願ったり叶ったりと言えます。

最初の売却時にも両手取引ですから、売主様・買主様双方から仲介手数料を受け取ることができます。

さらに、買取業者が転売する際、もう一回両手取引が確約されるので、両手取引2回分の手数料収入が確定するのです。

通常の片手取引1回と比較すると4倍近い売上が確保できることになります。

営業スタッフである以上、「買取+専任返し」という手法にはどうしても魅力を感じてしまうものです。

そして、中には「専任返しなし+値引き交渉なし」と「専任返し有り+値引き交渉有り」と2種類の購入申し入れがあった場合に、後者を優先的に受け付けてしまうような営業スタッフが存在しています。

前回の事例も、今回の事例も、本来はあってはならないことです。

しかし、どうしても撲滅は難しいのも事実。

であれば、「こういったこともあり得る」とご認識いただき自衛をして頂きたく、あえてこのようなお話をさせて頂きました。

悪意のある不動産会社を見分けるのは容易ではありませんが、例えば「執拗に買取を推奨してくる業者」や「複数の業者にあたった形跡が感じられない」といった場合は要注意だと思われます。

買取による売却にはメリットはありますが、よく注意しなければ不必要な不利益を被る可能性があります。

どうしても納得ができない場合は、安易に買取の申し出を受けずに、別の不動産会社に相談してみることも視野に入れたほうが良いかもしれません。

そしてもちろん、私共はこのようなことがないよう、より良い条件をご提示いただける買取業者様の選定を心掛けております。

ご不安を感じられることがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。

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