仲介会社自身が買取をする場合

117 「買取で進めるべきか否か」をご判断するにあたって

前回お話したように、買取での売却時には仲介の役割は非常に大きなものとなります。

基本的には買取で進める場合であっても優良な仲介業者を選定することの重要性はお伝えさせて頂いた通りです。

そのうえで、今回は「仲介業者自体が不動産を買い取る」というケースについて解説をしていきたいと思います。

状況によって、買取で進めたほうが良いとご判断をされたとして、仲介業者に相談をすると、稀に「自社での買取も可能です」という提案を受けることがあります。

これについては、条件が納得のいくものであれば、そもそも「仲介を任せよう」と思って信頼をしていた業者だと思いますから、基本的には問題ありません。

しかし、前回も解説させて頂きましたが、悪徳な提案をする業者が中にはいますので、念の為、バッドケースをお伝えさせて頂ければ幸いです。

仮にご所有の不動産が、多少時間がかかるかもしれませんが、うまくいけば2,500万円で売れる物件だった場合に、仲介業者から「よろしければ弊社が2,000万円ですぐに買い取ります」という提案が来たとします。

特に裏がなければ何も問題ありませんし、「いつか手に入るかもしれない2,500万円」よりも「すぐに手に入る2,000万円」のほうが優先されるケースはあり得ることです。これ自体に問題はありません。

しかし、仲介業者が自社で買い取る場合、買取後に本当に2,500万円で売れると仲介業者の利益は非常に大きなものとなります。

この利益に目がくらんでしまう担当者がいることは知っておいたほうがよろしいかと思います。

実際に計算をしておきましょう。

まず、2,000万円で買い取り、2,500万円で売れた場合、各種手続き費用やリフォーム代、売れるまでにかかる人件費は必要ですが、差額である500万円からそれら必要経費を差し引いた金額が仲介業者の利益となります。

一方で、もしも2,500万円での販売活動中に、そのままの金額で購入してくださる買主様を見つけ出し、仲介をした場合はどうでしょうか。

仲介手数料は2,500万円に対し「3%+6万円」となりますから、81万円となります。

いかがでしょうか、「自社で買取」と「仲介」の場合ですとこれだけの差ができる可能性があります。

そして、この差額は営業担当者にとっては強い誘惑になってしまうことがあります。

特に完全出来高制であったり、売上に応じてボーナスが変動する度合いが大きい企業ですと、仲介よりも買取を優先した動きをしてしまう営業担当者は存在しています。

状況に応じて「買取が最適」ということはもちろんあり得ることです。

しかしこうした背景から、よこしまな考えをもって「買取」を誘引する営業担当者も存在してしまっています。

「買取で進めるべきか否か」をご判断するにあたっては、こうした仕組みまで把握して頂いて、総合的にご判断いただくことが重要になってまいります。

次回も引き続き、買取についての注意点をお伝えしたいと思います。

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