180.第一種と第二種の低層住居専用地域の特徴を把握し、賢い不動産購入や売却を目指そう~その1

こんにちは!
イエステーション愛媛総合センター| 今治店の川又です。

不動産広告で「第一種低層住居専用地域」や「第二種低層住居専用地域」といった言葉を見かけたことはありますか。

これらの地域は、用途に応じて13種類に分けられた土地の中で、最も住環境が重視されている場所です。
学校や図書館、保育所、診療所など、生活に必要な施設も建設されており、快適な住環境が整えられています。

マイホームを検討中の方には、「第一種低層住居専用地域」や「第二種低層住居専用地域」は魅力的に映るかもしれませんが、
知っておくべき注意点も存在します。これらの地域の土地を売買する際のポイントについて解説します。

第一種・第二種低層住居専用地域とは?

都市計画法に基づき、計画的な市街化が必要な地域は市街化区域に指定されています。

用途地域は、市街化区域内で用途の混在を防ぎ、住環境を整えるためのルールです。
用途地域は無指定地域を含む13種類に区分され、「住居系」「商業系」「工業系」の3つのグループに分類されます。

特に住居系の中で良好な住環境が優先されているのが「第一種低層住居専用地域」と「第二種低層住居専用地域」です。
これらの用途地域にはどのような制限があるのでしょうか。詳しく見てみましょう。

用途制限がある

用途地域により、その土地に建てられる建物の種類や大きさが制限されます。第一種・第二種低層住居専用地域で建設可能な建築物は以下の通りです。

  • 住宅、共同住宅、寄宿舎、下宿
  • 店舗兼用住宅(店舗の用途は日用品販売、事務所、各種教室に限られ、店舗面積が50㎡以下かつ建物延べ面積の1/2未満)
  • 幼稚園、小学校、中学校、高等学校、図書館
  • 神社、寺院、教会
  • 老人ホーム、福祉ホーム
  • 公衆浴場、診療所、保育所
  • 巡査派出所
  • 庁舎、支所、老人福祉センター、児童厚生施設(面積600㎡以下)

第二種低層住居専用地域では、上記に加え、150㎡以下で2階建て以下の店舗や飲食店も建築できます。コンビニも第二種地域であれば可能です。

以前は第一種低層住居専用地域でコンビニ等の店舗は建築できませんでしたが、
2018年の建築基準法改正により、前面道路の幅が9m以上あれば、建築審査会の同意なしに建築できるようになりました。

建ぺい率・容積率規制が厳しい

第一種・第二種低層住居専用地域では、建ぺい率や容積率が他の用途地域に比べて厳しく制限されています。
建ぺい率は30%から60%、容積率は50%から200%の範囲内で都市計画で指定されます。

高さの制限が厳しい

第一種・第二種低層住居専用地域では、建物の高さが10mまたは12m以下に制限されています。これを「絶対高さ制限」と呼びます。

さらに、この制限とは別に、多くの自治体では条例によって高度地区の「最高高さ制限」が設けられ、軒高の制限がある場合も多いです。

高さ制限には、絶対高さ制限の他にも、道路斜線制限、北側斜線制限、隣地斜線制限があり、複数の制限が重なった場合、より厳しい規制が適用されます。

自治体によっては壁面後退制限もある

自治体によっては、建物の外壁から敷地境界線までの距離を1mまたは1.5m後退させなければならないと定められている場合があります。

第一種・第二種低層住居専用地域のメリットとは

様々な厳しい制限がある第一種・第二種低層住居専用地域ですが、この用途地域ならではのメリットもあります。特徴を解説していきましょう。

住環境を阻害する施設が建たない

先ほど説明した通り、第一種・第二種低層住居専用地域では良好な住環境を維持するために、建てられる建物に対して厳しい規制があります。遊戯施設や葬儀場などの建築計画に地域住民が反対するニュースを目にすることもありますが、この用途地域ではその心配はありません。安心して住み続けることができます。

隣地の建物が敷地ぎりぎりに建つことがない

建ぺい率の厳しい制限により、第一種・第二種低層住居専用地域では敷地の全てに隣接して建物が建つことはありません。
また、北側斜線制限のおかげで北側の住居が南からの陽光を確保できるよう、南側の建物も一定の間隔を置くことが必要です。

これにより、日当たりや風通しが保たれています。

不特定多数の人の出入りがなく、治安が安定

地域住民以外の需要に応える大型施設の新設は認められていません。つまり、この地区では商業的な大規模開発はなく、住民向けの建物のみが建てられます。そのため、外部からの人の出入りは控えめとなるでしょう。

高値で売却できる可能性がある

規制が厳しいため閑静な住宅街として知られる第一種・第二種低層住居専用地域は、7つある住居系用途地域の中でも人気が高いエリアです。
良好な住環境を求める人が多いため、そこでの住宅売買では高値が付く可能性があります。

まとめ

建築物への規制が最も厳しい第一種・第二種低層住居専用地域は、静かな住宅街として人気が高くなっています。隣家との距離が一定以上確保されており、治安を脅かす施設の建設も規制されているため、長期に渡り安心して住める場所を求める人から支持されています。ただし、規制の存在故に土地や住宅の売買には気をつける点があり、その注意事項について次回お話しします。

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