235.よくある不動産相続トラブルとその解決策を事例を交えて解説〜第3回

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イエステーション愛媛総合センター| 今治店の川又です。
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親が住む実家の不動産を巡って、相続時にトラブルが発生することは意外と多いものです。相続人が多いために話し合いがまとまらなかったり、平等な分割を試みるうちに争いが生じたり、長年親の世話をしてきた子どもが権利を主張するケースもあります。本記事では、不動産相続に関する代表的なトラブルを取り上げ、それぞれの問題点と解決策を詳しく解説します。

事例5:相続した不動産の名義変更がされていなかったケース
親が亡くなり、実家の相続を進めようと不動産の登記を確認すると、名義がかなり前に亡くなった祖父のままだったというケースがあります。相続登記には義務や期限がないため、長年放置されていることも珍しくありません。この場合、祖父の代まで遡って名義変更を行う必要があり、膨大な時間と手間がかかります。特に、親の兄弟姉妹が多いと、相続人の整理や必要書類の準備、手続きの負担が大きくなり、個人で対応するのは困難です。そのため、弁護士や司法書士に依頼することになり、費用負担も発生します。また、令和6年4月1日から相続登記が義務化されました。相続人は、不動産を取得した日から3年以内に相続登記を申請しなければなりません。遺産分割が行われた場合も、分割成立日から3年以内の申請が必要です。義務を果たさない場合、最大10万円の過料が課されることがあります。ただし、相続人が非常に多く、資料収集に時間がかかる場合などは正当な理由として認められることもあります。相続が発生したら、早めに登記申請を行いましょう。
【解決策】
将来の相続に備え、土地の登記を事前に確認しておくことが重要です。不動産の名義人が誰になっているかわからない場合は、親が健在なうちに不動産登記を確認しておきましょう。不動産登記簿は有料ですが、インターネットを利用すれば自宅からでも確認できます。祖父の代の相続については、当事者である親が手続きを進めることで、スムーズな解決が期待できます。
事例6:遺言書が問題でトラブルに発展するケース
相続トラブルを防ぐために最も有効な手段は、被相続人があらかじめ遺言書を作成することです。どの財産を誰に遺すのかを遺言で明確にしておけば、相続人同士の争いを回避しやすくなります。
しかし、遺言書の内容によっては、かえって相続トラブルを引き起こす原因になることがあります。特に問題となるのは、遺言書の「有効性」です。例えば、以下のようなケースが考えられます。
- 遺言書の形式が法律の要件を満たしていない
- 遺留分を無視した内容になっている
- ある特定の相続人だけに相続させる内容になっている
- 遺産のすべてを第三者に遺贈する内容になっている
遺言書の財産分配が極端に偏っていると、法定相続分を下回った相続人が納得できず、争いへと発展する可能性があります。
【解決策①遺言書の適法性を確認する】
遺言書は、被相続人の意思を尊重し、相続財産の分配を明確にするための重要な書類です。しかし、遺言書には法律で定められた作成ルールがあり、これを守らないと無効になってしまうため注意が必要です。
遺言書には「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類があります。この中で、公正証書遺言は公証人が法に則って作成するため、トラブルが生じることはほぼありません。一方、秘密証書遺言はあまり一般的ではないため、問題が発生するのは主に自筆証書遺言のケースです。
自筆証書遺言が無効とされる主な理由
- パソコンで作成されている(財産目録を除く)
- 押印がない
- 署名がない
- 作成日が記載されていない
- 他人が書いたと疑われる内容
- 相続財産の内容が不明確
- 作成日が虚偽である
- 動画や音声による遺言
遺言書が無効になると、相続人全員による遺産分割協議が必要となり、トラブルにつながる可能性が高まります。
なお、自筆証書遺言は法務局で保管できる制度がありますが、自宅で発見した場合は勝手に開封せず、家庭裁判所で検認手続きを行う必要があります。これを怠ると5万円以下の過料が科されることがあるため注意が必要です。
適切な遺言書を作成し、相続人全員がその法的有効性を理解しておくことが、スムーズな相続を実現する鍵となります。
【解決策②遺留分侵害額請求をする】
遺言書によって遺産の分配が特定の相続人に極端に偏っている場合、遺留分侵害額請求を行うことが可能です。遺留分とは、法定相続人に対して保証されている最低限の相続分を指します。
相続では、基本的に被相続人の遺志を尊重し、遺言書に基づいて遺産が分配されます。例えば、長年親の世話をしてきた人に感謝の意を込めて、法定相続人以外に全ての遺産を渡すことも理論上は可能です。
しかし、その場合に法定相続人が一切の遺産を受け取れない状況は非常に不公平です。そのため、民法では配偶者や子、直系尊属には、最低限の相続分として遺留分が認められています。もし遺留分が侵害されていると気付いた場合、相手に対して遺留分侵害額請求を行うことができます。
もし相手が請求に応じれば問題は解決しますが、応じない場合は家庭裁判所に調停を申し立て、遺産の精査を経て双方の合意に基づく解決案を提示してもらいます。
それでも解決しない場合は、地方裁判所(請求金額が140万円以下なら簡易裁判所)で民事訴訟を起こし、判決に従う形になります。
事例7:相続した実家を「空き家」にするケース
親が生前に住んでいた実家を相続した場合、誰も住む人がいなければ、その家は空き家となります。家族の大切な思い出が詰まった家を手放したくない気持ちは理解できますが、空き家を放置するとさまざまなリスクが生じることがあります。
空き家をそのままにしておくリスクとは、どのようなものがあるのでしょうか。
●固定資産税が増加するリスク
物件に住んでいない場合でも、所有しているだけで固定資産税の支払い義務は発生します。これ自体が負担となりますが、納税だけで済むわけではありません。
空き家を長期間放置すると、建物の劣化が進んで、気づかぬうちに倒壊寸前になることもあります。倒壊の危険があるような家屋は、地方自治体から「特定空家」に指定されることがあります。
この「特定空家」に指定されると、固定資産税の軽減措置が適用されなくなり、税金が一気に6倍になるため、十分に注意が必要です。
●犯罪リスク
放置された空き家は、犯罪者による不法侵入や、不法投棄、放火などによる火災が発生する原因になることがあります。
●近隣住民のリスク
空き家の周囲には雑草が生え、樹木が隣家の敷地に広がって迷惑になることがあります。さらに、野生動物が住み着いたり、害虫や不快な臭いが発生して近隣に迷惑をかけることもあります。
●メンテナンスや維持費の発生
これらのリスクを避けるためには、家が劣化しないよう定期的なメンテナンスが必要です。換気不足が原因で湿気が溜まり、腐食が進行する可能性があるため、誰かが定期的に管理に訪れることが大切です。遠方にある場合は、頻繁に訪問できないため、代理業者を利用するための費用がかかります。屋根や外壁の状態、ガラスの割れなどを点検し、劣化が見られた場合は改修工事が求められます。
【解決策】
実家を相続する可能性がある場合、空き家のリスクを回避するために前もって対策を考えておくことが重要です。具体的な対策として、以下が考えられます。
- 実家を売却する
- 賃貸に出す
- 管理会社に依頼する
- 家族で定期的に手入れをする
- 家族が実家に住む
もし実家が地方都市にある場合、売却が難しくなることがあります。その場合、買取専門の不動産会社に依頼することも一つの選択肢です。また、賃貸に出せば家賃収入が得られ、建物も使用されるため維持がしやすくなります。空き家バンクの活用も有効です。
遠く離れた空き家の管理は簡単ではないため、家族で管理するにも外部の業者に依頼するにも、金銭的・精神的な負担が伴います。生活に支障がなければ、実家に住むことを検討するのもひとつの方法です。

まとめ
相続財産に関する争いは、一般的な家庭でこそ起こりやすい問題です。実際、遺産分割に関する事件の約7割は遺産総額5,000万円以下の事例です。円満な家庭にも、予期しないトラブルの原因が潜んでいることがあります。
相続手続きを円滑に進めるには、平等な分割が理想ですが、不動産が相続財産に含まれていると、分割が難しくなることがよくあります。不動産は、簡単に平等に分割できる資産ではないからです。
不動産を平等に分割する方法として、換価分割があり、これは不動産を売却して得た現金を分け合う方法です。これが最も平等な分割方法と言えます。しかし、もし相続する家に同居している家族がいて、住み続けたい場合には売却できません。
この場合、代償分割を選ぶことができます。これは、相続人の1人が不動産を現物で取得し、その価値に応じて他の相続人に現金で支払う方法です。ただし、これには相応の経済的余裕が必要です。
こうした問題を回避するために最も効果的なのは、法的に有効な遺言書を作成しておくことです。親が元気なうちに相続について話し合い、家族全員が納得できる内容の遺言書を準備してもらうことが最良です。
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