220.住宅の買い替え時における引き渡し猶予とは何か?売主にリスクはあるのか?

こんにちは!
イエステーション愛媛総合センター| 今治店の川又です。
住宅の買い替えにおいて、先に売却を進める場合、売却物件に引き渡し猶予を設定することがあります。通常、引き渡しは売却金の決済と同時に行われますが、引き渡し猶予を設定することで引き渡し時期を遅らせることが可能です。
本コラムでは、引き渡し猶予について、その概要や買い替え時の流れ、売主が負うリスクについて詳しく解説します。

住宅の買い替えにおける引き渡し猶予とは?
不動産の売買では、通常、売買代金の支払いと同時に登記手続きと物件の引き渡しが行われますが、
代金支払い後に一定期間引き渡しを遅らせることができるのが「引き渡し猶予」です。
売却先行型の買い替えや、売却と新居購入が同時進行するケースでは、
引っ越し先が決まっていなかったり、準備が整っていなかったりすることがあります。
そのため、新居の準備や引っ越しの時間を確保するために、売却物件に引き渡し猶予を設けることがよくあります。
引き渡し猶予は多くの場合、売主の希望によって設定され、買主との合意のもとで細かい条件が決まります。猶予期間や条件は、契約書に「引き渡し猶予特約」として盛り込まれ、希望がある場合は不動産会社に相談すると良いでしょう。
①住居設備や共用スペースが充実していることが多い
②戸数が多いため、管理費や修繕積立金が抑えられる傾向がある
③駐車場が多く、セキュリティーなどの住環境も整備されている
④多様な世帯が集まっているため、子育て世帯や高齢者世帯との交流がしやすい
引き渡し猶予特約を付けて住宅の買い替えをする流れ
引き渡し猶予を設けた物件の買い替えの流れは以下のようになります。
①売却活動開始
引き渡し猶予特約」を付けて売却活動を進めます。引き渡し猶予は、買主にとって「購入後すぐに入居できないデメリット」があるため、売却時にはこの点を明確にしておく必要があります。
②売買契約締結
売主は新居購入にあたり不動産売買契約を結び、手付金を支払います。また、旧居の売却に関しては別途、不動産売買契約を締結し、買主から手付金を受け取ります。このとき、引き渡し猶予特約の条件を詳細に決定し、不動産売買契約書と重要事項説明書に記載します。
③残代金決済と新居の引き渡し
新居の残代金決済を行い、同時に所有権移転登記手続きと引き渡しを受けます。また、旧居の残代金についても決済を受け、抵当権を抹消し所有権移転登記手続きを行いますが、旧居の引き渡しは引き渡し猶予特約に従い、後日となります。買主はまだ入居していませんが、この段階で物件の所有権は買主に移転しているため、物件の取り扱いには注意が必要です。
④旧居の引き渡し
新居への入居を終え、引き渡し猶予特約で決められた日数が経過した際に、買主に旧居の引き渡しを行います。
買い替えで引き渡し猶予を付けるリスクは?

引き渡し猶予は、特に売却を先行して買い替えを進める売主にとって有益な特約ですが、残代金決済から引き渡しまでの猶予期間中は、売主が引き続き管理責任を負うため、注意が必要です。例えば、猶予期間中の電気代やガス代、水道代、固定資産税、そして買主が旧居の賃貸借契約を延長した場合の家賃負担などが挙げられます。また、引き渡し猶予期間中に設備の不具合や自然災害による損傷・倒壊が生じた場合も、売主が修繕の責任を負います。修繕ができず契約に基づく引き渡しができない場合、ペナルティなしで契約解除となることがあります。引き渡し猶予の期間が長く設定されるほど、こうしたトラブルが発生するリスクが高くなります。引き渡し猶予特約を設ける際には、こうしたリスクを考慮してください。また、詳細な条件やトラブル時の対処法は、不動産売買契約書と重要事項説明書に必ず記載し、契約時に確認することが重要です。
まとめ
・住宅の買い替えにおける引き渡し猶予の定義
物件の引き渡し猶予とは、通常は代金支払いと同時に行われる物件の引き渡しを、引き渡し猶予特約を設定することで一定期間遅らせることを指します。猶予を希望する場合、売却時に明示し、猶予期間は売主と買主の間で話し合いによって決める必要があります。特に、マイホームの買い替えを売却先行で進める際に、売主の希望で設定されることが多いです。
・引き渡し猶予特約を付けた買い替えの流れ
買い替えの流れは一般的なものと同様ですが、売却物件の引き渡しは引き渡し猶予特約に基づき後日に行われます。引き渡し猶予特約の詳細は不動産売買契約書と重要事項説明書に細かく記載され、契約締結時に確認されます。
・売主が抱える引き渡し猶予のリスク
売却後、物件の所有権は買主に移りますが、引き渡しが完了するまでは物件の管理責任が売主にあります。猶予期間中に発生する光熱費や固定資産税などのコストは、一般的に売主が負担することになります。また、猶予期間中に住宅設備に不具合が発生したり、地震などによって損傷や倒壊が起こった場合、売主が修繕などの責任を負うことになります。長い猶予期間を設けることはトラブルの原因になる可能性があるため、注意が必要です。
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