125.離婚と任意売却の注意点
こんにちは!
イエステーション愛媛総合センター| 今治店の川又です。
離婚の際に「家」は売却して財産分与することが多いです。
今回は、家の売却方法のひとつである「任意売却」についてご紹介します。
任意売却を選択する場合の条件やメリット・デメリットを確認し、離婚での任意売却の流れや注意点なども知っておきましょう。
離婚による任意売却とは? 任意売却を利用できる条件
離婚時の財産分与では、「家」を売却をして分配するケースが多いです。
家は現金とは違って半分ずつ分配というわけにはいかないので、売却をした方がスムーズなのです。
住宅ローンが残る家を売却する場合は、売却時にローン残債を完済する必要があります。
ただし、売却金や貯蓄で完済できるのならよいのですが、 ローン残債が売却金を上回る「オーバーローン」状態では通常の売却はできません。
任意売却とは、このようなローンの一括返済ができない場合に選択される売却方法。
ローン契約先の金融機関の同意を得て、家についている抵当権を外して売却します。
以下のような条件がそろえば、任意売却が可能です。
- ローン支払いが滞納状態にあること
- 住宅ローン契約先の金融機関の同意があること
- 不動産の共有名義者、連帯保証人全員の許可があること
任意売却は本来、ローン支払いができなくなってしまった人のための売却方法です。
意図的にローン支払いを滞らせることで、任意売却が可能となります。
ローン契約先の金融機関から合意をとり、共有名義者・連帯保証人全員から許可をとって手続きを進めることができます。
離婚で任意売却を選ぶ場合はメリットとデメリットを確認して検討を
離婚を視野に入れる場合は、離婚前に住宅ローンの問題を解決してからの方が、後々のトラブルを回避しやすいです。
家を持っている場合は、事前に任意売却のメリット・デメリットを知って検討しましょう。
任意売却のメリット
ローン一括返済のめどがなくても売却できる
上記でもご紹介した通り、住宅ローンが残る家は売却時にローンの一括返済が必須。
しかし任意売却であれば、オーバーローン状態で一括返済ができないケースでも売却が可能です。
不動産の売却ができれば、ローン支払いや所有権で揉めることもなくなります。
競売よりも高く売れる可能性がある
ローン支払いの滞納が続くと、裁判所に家を差し押さえられて競売にかけられます。
競売では市場価格の8割程度の価格で売却されるのが一般的。
任意売却は通常の仲介による売却のため、競売よりも高く売却できる可能性があります。
売却費用や引っ越し代などの現金が用意できる
こちらも競売との比較になりますが、競売による売却金は全額ローン返済にあてられます。
しかし、任意売却の場合は売却金の一部を売却費用や引っ越し費用にあてることが可能です。
自己資金の用意をする必要がなく、スムーズに新生活に進むことができるでしょう。
任意売却のデメリット
スムーズに売れるとは限らない
任意売却での売却方法は通常の仲介による売却です。
価格やタイミング、ニーズによっては売却に時間がかかってしまうことも少なくありません。
思ったような価格で売却できず「競売の方が高く、早く売れたかも……」ということもあるかもしれません。
一定期間、新たなローンが利用できない
任意売却をする条件として、住宅ローンの滞納状態が発生しています。
このため、ローン滞納情報が信用情報に記載され、一定期間新たなローンを利用したりクレジットカードを作ったりすることができない状態になってしまいます。
売却後もローンの返済義務は残る
売却時の一括返済をしなくていいとはいえローン残債がなくなるわけではなく、ローンの返済義務は残ります。
ローンの共同名義者や連帯保証人の責任も同様です。
その後の支払いは債権者と相談のうえ、分割で支払っていくケースが多いです。
また、任意売却をするには数カ月以上の時間がかかることも。
任意売却に必要な書類の作成もあるため、負担は大きいでしょう。
できるだけ負担を少なく効率よく進めるためには、不動産会社や専門家に相談するのがおすすめです。
任意売却は離婚前がおすすめな理由。注意点や流れも知っておこう
任意売却を行うなら、離婚前が断然おすすめです。
夫婦で住んでいた家は、夫婦で共有名義や連帯保証人になっていることが多いため、2人で協力して売却を進める必要があります。
離婚後に売却を進めようとすると、別居後にも頻繁に連絡を取り合わなくてはならず、いつまでたっても離婚問題を引きずってしまいます。
また、連絡が取れなくなってしまい、売却がストップしてしまうことも。
離婚成立前であれば、離婚協議を進めるのと一緒に協力して進めていくことができますよ。
ただし、任意売却後もローンが残っていればローン名義者や連帯保証人には返済義務が残っていますので注意してください。
残った債権はどちらがどれだけ支払っていくかといった点も、事前に話し合っておきましょう。
離婚時の任意売却の流れ
離婚による任意売却の流れは下記のようなイメージです。
1.住宅ローンの残債を確認する
2.物件の所有権名義、ローン名義、連帯保証人名義を確認する
3.不動産会社に売却の依頼、査定をする
4.共同名義者や債権者の同意をとる
5.金融機関に任意売却の許可をとる
6.広告など売却活動を開始する
7.購入希望者の内検対応、交渉を行う
8.不動産売買契約の締結をする
9.引っ越しを行う
10.物件の引き渡しをする
【6】以下の売却活動は一般的な不動産売却と同様の流れですが、任意売却では金融機関との交渉など専門的なノウハウも必要となります。
任意売却の実績が多い任意売却コンサルタントや不動産会社を選ぶことがポイントです。
共同名義者や連帯保証人の同意も得ておきましょう。
まとめ
- 任意売却の条件
住宅ローンの残っている家は売却時にローンの一括返済が必要ですが、ローンの一括返済ができなくても任意売却なら売却可能です。ローン支払いが滞納状態であること、ローン契約先の同意があること、不動産の共有名義者、連帯保証人全員の同意があることが条件となります。 - 任意売却のメリット
任意売却はローン一括返済のめどがなくても売却できることがメリット。競売よりも高く売れる可能性があり、売却金から売却費用や離婚後の引越し代などを出すことも可能です。 - 任意売却のデメリット
売却方法自体は一般的な仲介売却のため、必ずしもスムーズに売却できるとは限りません。 ローン滞納前提としているため、任意売却後はいわゆる「ブラックリスト」状態になり、一定期間新しいローン契約はできず、ローン残債自体の返済義務は残ります。 - 任意売却のタイミング
任意売却は離婚前に行うのがスムーズ。既婚協議と並行して進めていくことをおすすめします。数カ月以上の時間がかかることもあり、専門的なノウハウも必要となるため、任意売却の経験が不動産会社や専門家へ依頼するようにしましょう。