実録!レインズの情報公開
048 2種類の閲覧可能「過去に成約した事例」と「現在売り出し中の事例」
【成約事例】…実際の成約価格を、詳細な成約年月日などの情報を掲載
【売出事例】…周辺のリアルな売物件の詳細情報を掲載、図面資料まで閲覧できる物件も相当数登録され、過去と現在の相場情報を掲載
不動産会社はこれらの情報を駆使して査定をしているのですが、一般的には現在の売出事例よりも、過去の成約事例を重視しています。
「1年前、同じような部屋が4000万円で売れている」
「それから1年経っているから、3800万円ぐらいか」
というように、過去の事例を基に比較法を用いて査定を行っていくのです。
レインズから得られる情報は、全ての不動産会社で同じ情報を得ることができます。
しかし、複数の担当者が、全く同じ不動産についてレインズを使って査定すると、基本的には異なる金額が提示されます。
これはなぜでしょうか。理由は2点あります。
1.以前に述べたように「個人の主観」によって左右されている。
2.担当者によって引用する事例が違うことがある
実際に、あるマンションで複数の不動産会社に依頼した査定価格が数百万円以上のブレ幅があった事例もあります。
本来であれば、売却を検討中のお客様には、取引事例と売出事例を全て開示してしまい、「一緒に考える」というのが健全であるのかもしれません。
しかし、レインズをご存知のお客様が「成約事例も、売出事例も、もっと教えてください」と言っても、難色を示す不動産会社は多くいます。
これは不動産業界のあまり良くない側面ではあるのですが、お客様が知らない情報を持っていることが、不動産会社にとっては財産だからです。
全てのデータを開示してしまうと、お客様にとって不動産会社を頼る意味が薄れてしまうのです。
しかし、インターネットが発達し、SNSでの情報発信が活発になっている昨今、多く業界で、プロと消費者の情報格差は埋まりつつあります。
情報を抱えておくことで保っていた優位性が失われていくにつれ、不動産会社の本当の実力が試される時代になってきていると言えるのかもしれません。
古くから不動産会社の主な仕事は「物件情報の提供」でした。
しかし今後は、お客様に対する提案力やコンサルティング能力が問われているのだと思います。
今後、依頼をする不動産会社をお選びになる際には、このような視点も持って頂き、提案内容や、情報の開示に対する姿勢などから、その会社の実力を見極めて頂ければと思います。