080.住宅に火災警報器を設置するのは義務?設置すべき場所や罰則は?
こんにちは!
イエステーション愛媛総合センター| 今治店の川又です
不動産売買の契約時には、必ず不動産会社から「重要事項説明書」に基づいて説明を受けます。これは、物件の内容や取引の条件など、売買契約するかどうかを決めるために必要な情報が記載された書面です。
その重要事項説明書の「その他重要な事項」の中には、火災警報器に関する説明がありますが、一読しただけではちょっと分かりにくいため、どういう意味か疑問を持つ人が少なくありません。
実際、買主がその意味を聞いても、不動産営業マンや宅建建物取引士が正しく説明できないことも多々あります。
火災警報器は具体的にどのようなものでしょうか。また、設置しないと罰則はあるのでしょうか。
今回は、火災警報器の取り扱いについて分かりやすく解説します。
火災警報器(住宅用防災機器)とは
「重要事項説明書」には、火災警報器に関して次のような文面があります。
『消防法および各地方公共団体の定める火災予防条例等により、すべての住宅に住宅用防災機器(火災警報器)の設置およびその維持が義務付けられています。』
さらに以下の文面が続きます。
『なお、本物件には住宅用防災機器が設置されていますが、維持管理については買主の費用負担となることを、あらかじめご承知おき下さい。』
もしくは『なお、本物件には住宅用防災機器が設置されていません。設置については買主の費用負担となることを、あらかじめご承知おき下さい。』となっているはずです。
火災警報器は、火災の発生を感知すると、自動的に音や音声で知らせてくれる機器です。天井や壁に設置するもので、耳が不自由な人のために、振動や光で知らせる機種もあります。
火災警報器は全ての住宅に設置義務がある
2006年の消防法改正に伴い、火災警報器は全国の新築・中古を問わず全ての住宅に設置が義務付けられました。
設置が義務付けられているのは、寝室や階段です。さらに自治体でも、独自の条例により台所や居間などへの設置義務を定めています。設置義務がある場所は市町村により異なるため、必ずGoogleやYahoo!で「〇〇市(町村) 火災警報器」と検索するなどして、確認するようにしてください。
日本では、これまで大規模火災が発生するたびに消防法についての議論が起こり、デパート、病院、ホテルといった不特定多数の人が出入りする建物については規制が強化されてきました。
これにより、該当する建物では火災による死者が大幅に減少してきたものの、住宅の規制は行われていませんでした。
しかし現実的に、住宅火災で毎年約1,000人が死亡しています。死亡原因の多くは逃げ遅れで、犠牲者の7割が65歳以上の高齢者。特に就寝時間帯に多くの犠牲者が出ています。火災警報機の設置は火災の早期発見、消火及び避難につながり、命や財産を守るために有効なのです。
総務省消防庁は、火災警報機を設置しない場合に比べて焼損床面積や死者数はおおむね半減、損害額は約4割減と分析しています(総務省消防庁「住宅用火災警報器を設置しましょう。」参照)。
設置場所や届出の有無、罰則はどうなっている?
新築や改築する時は建築確認申請の際に設置内容の記載が必要ですが、通常は不動産会社などの事業者が行います。既存住宅(中古住宅)については設置の届出の必要はありません。
また、熱や煙を自動感知して信号を送り警報ベルなどで建物全体に知らせる「自動火災報知設備(自火報)」や、散水装置などのスプリンクラーがある共同住宅(マンション)の部屋は、住宅用火災警報器の設置が免除されています。
原則として、自動火災報知設備は建築延べ床面積が500㎡以上の共同住宅には設置義務があるため、ほとんどのマンションは新たに火災警報器を設置する必要はありません。
ただし、設置場所が共用部分の廊下のみの場合や、高層階などの一部住宅にしか設置されていない場合は、自動火災報知設備等が設置されていない住宅部分に住宅用火災警報器の設置が必要です。
2018年6月時点での、住宅用火災警報器の設置率は全国で81.6%。義務はあっても罰則規定がないこともあり、依然2割近くが未設置となっています。しかも義務付けられた全ての箇所に設置している世帯は約6割と低いため、不動産売買の時には、自治体の条例通りの箇所に設置されているかどうか必ず確認するようにしましょう。
住宅用火災警報器はどこで、いくらで買える?
火災警報器には「煙式」と「熱式」の2種類があり、設置場所によって適切な方式の火災警報器を選ぶ必要があります。
どの設置場所も、火災の発生を初期段階で検出できる「煙式」の設置が基本です。「熱式」は、炎によって周囲の温度が規定以上になると警報が鳴る仕組みなので、台所など大量の湯気や煙が出る恐れがある場所への設置が適しています。
ホームセンターや家電量販店、インターネットで購入でき、1個3,000円前後が目安。感知した部屋以外でも連動して鳴る通信機能付きタイプは、1個7,000〜8,000円前後が相場です。
火災警報器の設置に特別な資格は必要なく、自分で簡単に取り付けることができます。主要なメーカーはホーチキやニッタン、パナソニック、能美防災などです。規格があるため基本性能に大差はありません。
火災警報器は10年を目安に交換を
取り付けても、ある程度年数が経過すれば交換は必要です。劣化や電池切れで「肝心な時に作動しなかった!」ということがないよう、設置の際に、交換時期が分かるよう本体側面に設置年月を記入しておくようにしましょう。
機器の交換目安は10年といわれています。新築などで設置が義務付けられてから10年以上が経ち、すでに交換時期を迎えている住宅も多いはずです。
最新式だと「電池切れです」と声で知らせるものもありますが、古い機種は音と光が一般的です。電池が切れると一定期間、警告音が鳴り続けます。完全に止めるには内蔵電池の配線を外す必要があり、Web動画でその方法が掲載されているので参考にしてください。
設置後も長期間放置せず、定期的に本体の点検用のボタンやひもを操作して正常に作動するか確認が必要です。反応がないなら電池切れや故障の可能性があるので、できるだけ早く交換しましょう。
まとめ
住宅は、新築か中古かに関わらず、火災警報器の設置が義務付けられています。寝室と階段は全国どの家も設置義務がありますが、それ以外の場所は自治体の条例によって異なります。
設置しなくても罰則はありません。
ですが、火災警報器の設置は自分の家族はもちろん、周囲の住民への被害も減らすことに繋がります。購入する住宅には設置されているのか、条例と合致しているのかをしっかり確認し、設置されている場合も正常に作動するか定期的に点検するよう心がけてください。
不安があれば、メーカーの窓口や日本火災報知機工業会、近くの消防署に相談してみましょう。
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