039.不動産関係の「相続放棄」その判断や方法、注意点とは?
こんにちは!
イエステーション愛媛総合センター| 今治店の川又です
遺産相続はありがたい財産ばかりとは限らず、遠く離れた田舎の土地や誰も住んでいない古い空き家など、相続したくない不動産もあるかもしれません。
そんな場合は「相続放棄」も一つの方法として検討してみましょう。
今回は不動産の相続放棄についてのお話です。
不動産の相続放棄を検討した方が良いケースやよくあるトラブル事例、不動産の相続放棄をする方法や流れをご紹介します。
相続放棄が難しい場合の対応や代替案もお伝えしますね。
不動産を相続放棄した方がいい場合とは?
遺産相続では現金や預金、株式などの有価証券のほか、土地や建物といった不動産も相続財産となります。
遠く離れて利便性の悪い田舎の土地や、誰も住まないであろう古い建物などを相続しなくてはいけないとなると困ってしまう場合も。
活用できない土地や建物でも、相続してしまうと固定資産税や管理費がかかってしまうんです。
特に建物の場合は誰も住んでいないからと言って荒れ放題にしておくわけにもいかないので、メンテナンスに費用がかかります。
「じゃあ更地にしてしまえ!」と更地にすると固定資産税が上がってしまう…なんて場合も(住宅が建っている住居用の土地は、特例措置で固定資産税が低くなっているのです)。
このような「困った不動産」がある場合は、相続放棄を検討するのも方法の一つです。
ただし、一部の財産のみ相続して一部の財産を相続放棄するということはできません。
不動産を相続した後にかかる税金や費用と、現金や預金などのプラスの相続分を天秤にかけて、マイナス費用のほうが大きくなるようなら相続放棄も検討してみましょう。
不動産の価値よりも大きな借金がある場合なども、まとめて相続放棄をしたほうが良いケースと言えるかもしれません。
不動産の相続放棄を決めた場合、その流れや方法は?
不動産の相続放棄の方法や手続きの流れをご紹介します。
1)相続放棄の期限は相続開始から3ヶ月以内
相続には期限はありませんが、相続放棄には期限があります。
相続放棄をするためには、被相続人が亡くなり相続する遺産があると知ってから3ヶ月以内に家庭裁判所へ申立をする必要があります。
2)相続放棄申述書の提出
不動産の相続放棄をするには「相続放棄申述書」を作成し、必要書類を添えて家庭裁判所へ提出が必要です。
申述書の様式は裁判所のホームページからダウンロードが可能です。
必要書類と費用
・相続放棄申述書
・申述人の戸籍謄本
・被相続人の除籍謄本
・被相続人の住民票の除票
・収入印紙800円
提出先:被相続人の住所管轄の家庭裁判所
3)裁判所からの照会書に記入、返送する
相続放棄申述書を提出すると、相続放棄に関して裁判所から照会書が届きますので、回答した上で返送しましょう。
照会される内容は、被相続人との関係や相続開始日の確認、すでに処分してしまった相続財産はないか、などです。
4)裁判所から受理通知書が届く
照会書を返信し、問題がなければ相続放棄の申述が受理され、受理通知書が郵送で届きます。
申立から受理までは、申述書や照会書の内容に不備や問題点がなくスムーズに進んだ場合で1~2ヶ月程度かかるでしょう。
もし相続放棄の申述が受理されなかった場合は、相続放棄不受理通知書が届きます。
不受理に納得がいかない場合は、2週間以内に高等裁判所へ即時抗告をすることができます。
相続放棄の申立は相続人自身で行うほか、司法書士や弁護士にも代行を依頼することができます。
専門家へ依頼をする場合の費用は3万円~20万円程度。
放棄するか考える時間も含めると、申立の期限が意外と短いと言えるので専門家へ依頼することをおすすめします。
不動産を相続放棄するのが難しい?その場合の対処方法
すでに遺産の一部を処分してしまったり、使ってしまったりしている場合は、相続の承認がなされたとされ、その後の相続放棄をすることはできません。
前述でも触れましたが相続放棄ができる期限も決まっており、被相続人が亡くなってから3ヵ月以内に手続きをしなければいけないとされています。
正確には自分が相続人になったと知った時からとなりますが、その間に相続分がプラスになるのかどうかを判断する必要があります。
相続放棄ができなかったが「住む予定のない不動産を相続して固定資産税だけがかかっていくのは困る……。」
そんな場合の対処方法をご紹介します。
売却して現金化する、賃貸として貸し出して賃貸収入を得る
自分にとって利便性が低い土地や住宅でも、必要とする人がいるかも知れません。
その土地のお隣に住んでいる方へ安く譲るという方法もあります。
駐車場や雪捨て場、家族の家を建てるなど活用してくれるかもしれません。
田舎の土地は都会からの移住希望者に安く譲る、賃貸に出すという方法も。
広すぎる土地の場合は分割したほうが買い手がつきやすい場合もあります。
寄付をする
隣地の所有者や自治体、町内会などに寄付をするという方法もあります。
自治体への土地の寄付は、その土地が所定の条件を満たす必要があります。
審査を受ける必要もあるので、まずは自治体に相談してみましょう。
不動産相続を決めた場合、よく見られるトラブルを想定しておこう
不動産を含めた財産を複数人で分割相続する場合は、不動産を売却してそのお金を分配したり、相続人の1人が不動産を相続する代わりに残りの相続人が不動産の価値相当の別の財産(現金など)を相続したりすることになります。
その際にはこんなケースでトラブルが起きる可能性があります。
- 不動産の価値が将来上がるかもしれないため、不動産を相続しない代わりに現在の価値分の現金をもらうだけでは納得できない!となるケース
- 不動産を相続した人がその後賃貸経営を行ない、その人だけ家賃収入を得るのは納得できない!となるケース
- 住宅を売却して現金化して、そのお金を分割相続したい人、売却せずにその住宅に住みたい人で意見が分かれるケース
相続人が複数人いる場合、分割相続しづらい不動産の相続はトラブルになりがちです。
相続の内容については相続人全員で話し合う「遺産分割協議」にて決定する必要があります。
相続前にこんなトラブルを想定しておき、そうなった場合の対処法も考えておきましょう。
まとめ
- 不動産の相続放棄は可能。ただし、一部の財産のみ相続して一部の財産を相続放棄するということはできません。不動産を相続した後にかかる税金や費用と現金や預金などのプラスの相続分を天秤にかけて、マイナス費用のほうが大きくなるようなら相続放棄も検討してみましょう。
- 不動産の相続放棄は、相続開始を知ってから3ヶ月以内に裁判所へ相続放棄の申立が必要です。収入印紙を貼った相続放棄申述書と必要書類を、被相続人の住所管轄の家庭裁判所へ提出します。申立期間が3ヶ月しかなく、検討期間を含めると以外に時間がないので、司法書士や弁護士などの専門家へ依頼することをおすすめします。
- すでに財産の一部を処分してしまったり使ってしまった場合、自分が相続人と知ってから3ヵ月以内でないと相続放棄はできません。破棄できないケースで不動産の管理が難しい場合は、不動産の売却や賃貸、寄付などができないか検討してみましょう。
- 土地や建物は分割しにくいので、相続人が複数いる場合はトラブルになりやすいものでもあります。不動産のまま相続するのか、不動産ではなく現金で相続するのかの意見の相違、現金の場合の金額に納得がいかないといったトラブルが多く見られます。
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