212.シニアが考えるべき住み替え、戸建てとマンションの選択肢と物件選びの注意点

こんにちは!
イエステーション愛媛総合センター| 今治店の川又です。

子どもが独立して部屋が余ってきたり、リタイア後により便利な場所で暮らしたいと考えるシニアの方は少なくありません。生活環境の変化に応じて住み替えを検討するケースが増えています。
では、住み替える際に選ぶべきは戸建てかマンションか?老後を安心して過ごすために適した住まいを選ぶために、戸建てとマンションのそれぞれのメリット・デメリット、そして住み替え時の注意点について解説します。
(※コラム内容は掲載当時の最新情報となり、現在改正されている場合があります)

賃貸と買い替えなら、どちらにすべき?

買い替えを検討する前に、賃貸物件に住むという選択肢もあります。まずは賃貸のメリットとデメリットを見てみましょう。

〈メリット〉まとまったお金を用意しなくて良い

買い替えをする際に資金が不足している場合、住宅ローンの利用が必要になりますが、退職後や退職間際には住宅ローンの負担が大きくなる可能性があります。 その点、賃貸であればまとまった資金を準備する必要はありません。家を売却した資金をそのまま老後の貯蓄として活用できます。

〈デメリット〉高齢者は賃貸が借りにくい

高齢者に物件を貸すことをためらう大家さんが多いのは、収入の低さや健康面への不安があるためです。特に一人暮らしの高齢者の場合、孤独死のリスクが心配されます。
たとえ審査に通って入居できたとしても、賃貸経営の中止や建物の老朽化による解体などで退去を余儀なくされることもあります。

シニアがマンションに住むメリットとは

シニア世代がマンションに住むメリットを見ていきましょう。

1.交通の便が良い商業地の物件がある

都市部の駅前周辺は、高い容積率の商業地域に指定されているケースが多く、物販店や飲食店などの商業施設と高層マンションが混在する市街地が広がっています。
周辺には買い物や病院、銀行などの必要な施設が揃っており、交通の便も良いため、車がなくても移動に困ることはありません。

2.日当たりと眺望が良い

リタイア後は、自宅で過ごす時間が増えます。
そのため、日当たりや眺望の良さは大切なポイントです。
バルコニーから広がる開放感のある眺めや、緑豊かな景色を楽しめたり、リビングの日当たりが良いと、快適な生活を送ることができるでしょう。
反対に、日当たりが悪く景観が味気ないと、気分が沈んでしまうこともあるかもしれません。

3.バリアフリーの生活ができる

年を取ると体の機能が衰え、階段や小さな段差でも負担になることがあります。その結果、戸建てに住む高齢者の中には2階を利用しなくなる人もいます。これに対し、マンションではエレベーターによってスムーズな移動が可能。また、フラットな居住空間により部屋間の移動が容易で、足腰への心配も少なくなります。

4.建物のメンテナンスを心配しなくていい

戸建て住宅の維持には、屋根や外壁、外構、庭などの定期的な点検と、必要に応じた修繕や改修が求められます。そのたびに専門業者との調整や予算の確保など、所有者の負担が大きくなります。これに対し、マンションでは建物の修繕を管理組合が一括して行うため、個人の責任や労力が軽減されます。

5.セキュリティが充実している

戸建てだと、自分の家の防犯対策は自分で行います。

マンションの場合は、建物全体でセキュリティ管理を行っているので、安心して暮らすことができます。

6.利便性の高い物件は売却しやすい

シニア世代にとって、相続や将来の介護施設入居は重要な検討事項です。利便性の高い場所にあるマンションは資産価値が保たれやすく、売却の際も円滑に進められます。高値での取引が期待できるため、子どもが相続した場合も資産の扱いに困ることは少ないでしょう。

シニアがマンションに住むデメリット

シニアにとってメリットばかりのようなマンション住まい。デメリットにはどんなことがあるのでしょうか。

1.管理費や修繕積立金が毎月必要

マンション所有者は、共用部の維持管理費用と将来の大規模修繕のための積立金を毎月支払う必要があります。特に築年数が経過したマンションでは、これらの費用が高額になることがあります。

2.建て替えになると負担額が大きい

著しい劣化や災害による被害で、マンションの建て替えが避けられないことがあります。修繕での対応を望む人がいても、所有者と議決権の5分の4以上の賛成で建て替えが決定します。費用は多額になるため、高齢者には捻出が困難な場合があり、予期せず退去を強いられる可能性もあることを理解しておく必要があります。

3.水害に弱い

低地に建つマンションは、台風による洪水時に河川の逆流で下水排水機能が失われることがあります。過去の大型台風被災地では、低層階で下水が逆流し、トイレや台所の排水溝から噴出した事例があります。さらに、災害時の停電でエレベーターが使用不能になり、高層階の住民が階段利用を強いられる困難も報告されています。

4.上階や隣家の生活音が気になることがある

マンションでは上階や隣から、掃除機や洗濯機、テレビの音、子どもの足音などの生活音が聞こえて気になることがあります。

それまで戸建てに住んでいた人にとっては、こうした聞きなれない生活音にストレスを感じるかもしれません。

シニアが戸建てに住むメリット

次に、シニア世代が住み替えで戸建てを選んだ場合のメリットを見ていきましょう。

1.建物や外構を自己判断で改修できる

戸建ての所有者は、住宅に関するすべての工事について決定する権限を持っています。外壁改修、外構工事、リフォームなど、必要性を感じたら自由に発注できます。不要な工事の勧誘は、断ることで済みます。

2.土地を資産として残せる

家は年とともに老朽化しますが、土地は所有し続ける限り不変です。戸建ての所有者は、子ども達に永続的な資産として土地を残せる利点があります。しかし、地方の土地などは相続後の活用が難しい場合もあるため、立地条件を慎重に考慮する必要があります。

3.敷地内に駐車・駐輪スペースが作れる

戸建て住宅では、自分の敷地内に車や自転車を置くスペースを確保できるので、自動車の所有と利用が簡単です。希望すれば、カーポートを後から設置することも可能です。

4.庭づくりが楽しめる

戸建てには庭がつきもの。

シニア世代には土いじりを好む方が多く、ガーデニングや家庭菜園ができる戸建て住宅は、日々の暮らしに潤いや楽しみをもたらしてくれるでしょう。

5.家を自由に装飾できる

マンションでは、玄関扉やバルコニーなどが「共用部」とされているため、たとえ自分の住戸であっても装飾を施すことはできません。
一方、戸建て住宅では、家全体をイルミネーションで飾ったり、窓や玄関に装飾を施すことが自由にできます。

6.近所付き合いがスムーズにできる

一般的に、マンションでは近所づきあいが希薄になる傾向がありますが、戸建て住宅では路上や地域行事などで顔を合わせる機会が多く、近隣住民とのコミュニケーションがしやすい環境です。

7.ペットを自由に飼える

マンションでは、ペットの飼育を禁止しているケースが少なくありません。
一方、戸建て住宅では、近隣に大きな迷惑をかけない限り、どんなペットでも自由に飼うことができます。

シニアが戸建てに住むデメリット

シニア世代が住み替えで戸建てに住むと、どのようなデメリットがあるのでしょうか。

1.上階への行き来が負担になる

年齢を重ねると、多くのシニアは足腰が弱くなり、階段のある家では2階の上り下りが大きな負担となります。そのため、2階を全く使わなくなることも少なくありません。加齢に伴い、使わなくなるスペースが増える傾向があります。

2.玄関までのアプローチに段差がある

戸建て住宅では、地盤面が水はけの関係で道路面よりもわずかに高くなっており、そのため床は地盤面よりもさらに50センチメートル以上高く設置されています。このため、道路から玄関までのアプローチには、どんな家でも数段の段差が生じます。また、建物内でも、玄関ホールと床の間に段差ができるのは避けられません。若いころには気にならなかった段差も、シニアになると大きな負担に感じることがあります。

3.家の改修工事を自己判断する必要がある

家が老朽化して不具合が出ても、修繕が必要かどうかを素人が判断するのは難しいことがあります。また、セールスが訪問し、巧みに工事契約を結ばせようとすることもあるでしょう。マンションでは改修工事は管理組合が行うため比較的楽ですが、戸建て住宅ではすべて自己判断で進めなければなりません。そのため、知識がなくても業者の手配や見積もりの確認などをすべて自分で行う必要があり、精神的な負担が大きくなります。

4.交通の便が悪いことがある

住宅地は通常、静かな環境に設けられることが多く、鉄道駅から離れていることがあります。自然豊かで静かな農村地帯に住むことを選んだ場合、車がないと移動が難しい可能性があります。車の運転ができなくなった場合の生活に支障がないかなど、交通アクセスについては事前にしっかり確認しておきましょう。

5.近隣に商業施設や病院がない

住宅地は通常、家や小規模な店舗が中心で、大規模なショッピングモールや総合病院、金融機関などの施設は遠くにあることが多いです。老後には病院に通う機会が増えるため、周辺環境が充実しているかどうかは住まい選びにおいて重要なポイントとなります。

シニアがマンションへの住み替えで注意すべきポイント

では、シニアがマンションに住み替える場合、物件選びのコツや注意すべき点は何でしょう。

1.築年数が浅い物件を選ぶ

マンションの毎月のコストには、管理費や修繕積立金が含まれます。これらの費用は、築年数が古くなるほど高額になる傾向があるため、費用の負担を軽減したいなら、築年数の少ない物件を選ぶのが賢明です。築年数が浅い物件は耐震性能も高く、少なくとも自分たちが住んでいる間は劣化による建て替えの心配がほとんどないため、安心して暮らせるというメリットもあります。

2.修繕積立金の状況を確認する

修繕積立金は、大規模な改修工事を行うための資金です。修繕積立金が不足している物件では、大規模改修が近づくにつれて、積立金が引き上げられることがあります。そのため、入居を決める際には「過去に大規模改修が実施されたことがあるか」「積立金が十分か」といった点を確認することが重要です。

3.遮音性能を確認する

戸建てに住んでいた人にとって、マンション特有の振動音や排水音は耳障りに感じる場合があります。

住んでからストレスにならないよう、入居に際しては、振動対策や遮音性能について確認をしておくことが必要です。

4.余裕のある資金計画を立てる

シニア世代になると、収入は減少し医療費が増加します。そのため、住宅ローンを組むのは避けた方が賢明です。たとえ融資条件に適していても、高齢になってからローンの返済を続けるのはリスクが大きすぎます。可能な限り、現在の住まいを売却した際の資金内で購入できる物件を探すことをおすすめします。

シニアが戸建てへの住み替えで注意すべきポイント

資金的に無理をしないという注意点は、戸建てに住み替える場合でも同様です。

他にはどのような注意点があるか見ていきましょう。

1.ダウンサイジングや平屋も選択肢に

子どもが独立したシニア世代にとって、現在の家は広すぎることが多いでしょう。よりコンパクトな住まいへの「ダウンサイジング」を検討してみるのも一つの方法です。また、平屋に移ることで身体に過度な負担をかけずに暮らすことができます。

2.手入れが不要な外構にする

庭づくりが楽しめる戸建ては、日々の生活を豊かにします。

でも、あくまで自分で手入れが可能な植物にとどめること。大きく成長するような高木の植栽は、後々大きな負担になります。

3.売却しやすい物件を選ぶ

終の棲家を選ぶにあたっても、やがてその時は来るものです。相続を受けた子どもが困らないように、将来売却しやすい物件を選ぶことを心がけましょう。

4.段差の少ない物件を選ぶ

日本の家屋には完全に段差のない物件は存在しませんが、高齢になるにつれて段差が少ない家を選ぶことが安心です。特に勾配のある道路に接する物件は、道路から玄関までの段差が多くなるため、できるだけ避けた方が良いでしょう。段数の少ない物件を選ぶことで、生活が楽になり、将来的にスロープの設置も容易になります。

まとめ

老後に戸建てとマンションのどちらに住み替えるかは、個々の価値観によって異なります。生活のしやすさを重視するなら、段差が少なく利便性の高いマンションが有利ですが、管理費や修繕積立金の負担も考慮する必要があります。一方、戸建ては土地を資産として残せるため、相続する子どもにとってはプラスになるでしょう。人生100年時代を迎え、シニア世代にとっても住み替え後の生活は長くなります

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